ジャングル・ウーマン それ行け男喰い族 「評価 C」
大学教授のマーゴは男女同権主義者。講義の中でも日々、女性の地位向上を訴え続けていた。そんな彼女の元に、ある日政府機関からの使者がやってきた。何でも世界各地のアボガドの産地が共産圏に支配され、西側諸国は深刻なアボガド不足に陥っているらしい。この状況を打開するにはカリフォルニア州のアボガドが群生している密林を確保するしかないのだが、そこには男を捕らえてはアボガドディップにつけて食べてしまう、世にも恐ろしい女集団「ピラニア族」が生息しており、到底アボガドの確保は望めない状況だった。彼女らを説得するために政府は女尊男卑の論説家カーツ女史を密林に派遣してみたが、しばらく経っても彼女は帰ってこないどころか、かえってピラニア族の行動が凶暴化してしまった。そこで政府はマーゴに対し、カーツ女史の生存確認とピラニア族の説得を依頼したのである。「受けなければ大学から追い出す」と学長に脅され、嫌々ながらも教え子や元愛人のタフガイを連れて密林へと出発するマーゴ。旅の途中、女に尽くすことしか知らない男性部族ドナヒューズ族なんかと遭遇しつつ、マーゴたちはピラニア族の砦へと辿り着いた。ところがそこでピラニア族を指揮していたのは、あろうことかカーツ女史だったのである。政府の真の目的がアボガドの確保でなく、ジャングルの女尊男卑社会を破壊することだとを知ったカーツ女史は、ジャングルの秩序を維持するために自らピラニア族の長となっていたのだ。マーゴに対し「我々の仲間に入らないか」と誘いを掛けるカーツ女史。しかしマーゴは幾らなんでも男を殺すのは間違っていると考え、彼女の勧誘を拒絶した…。
邦題からも分かるように、全編に渡ってお気楽でお馬鹿な雰囲気が漂っている、脳天気さここに極まれりなアマゾネス映画である。冒頭でオーケストラ調の音楽が流れて思わず気が引き締まってしまうが、その後いきなり出てくる頭のネジがゆるんだ優男によっていっぺんに気持ちは緩み、そのままラストまで生ぬるい空気は持続していく。
この何とも言い難い脱力ムードの原因は、映画を構成する各要素の中途半端さにある。女尊男卑社会の縮図となっているジャングルは設定としては面白いが、その中で描かれるマーゴとカーツ女史の対決も、ピラニア族と宿敵バラクーダ族との対決もこれといった結論が出ずに終わってしまう。また映画の後半はビキニ姿のお姉さんが大挙出演するが、ビキニのサイズが大きめで露出度に乏しく、あまりセクシーには感じられない。そして勿論アクションシーンはアマゾネス映画の宿命により、やる気の無さが画面の向こうから伝わってくるヘナヘナな代物で──とこんな風に、本作はスタッフの気合が感じられるような箇所が全く見当たらない映画なのだ。どの場面もそれなりの水準でありながら何処か抜けた部分が存在しており、観る側はそれをぼんやりと受け止めるだけで、大きな笑いも起こらなければ極端な出来の悪さに怒ることもない。「アマゾネスコマンドー 美女脱獄囚:地獄のX作戦」もそうだったが、疲れた時の息抜きとして見るには良いが、気力に満ち溢れている時に観ると即座に精神が減退しまう、ヘロインのような効果を秘めている映画だった。
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