吸血怪獣ヒルゴンの猛襲 「評価 C」
フロリダ州の田舎町を襲った、一つの事件。町外れの沼地で密猟を行っていた男が、血まみれになって死んでいるのが見つかった。保安官は事件の犯人は沼のワニに違いないと判断したが、医者が調べたところ男の身体には巨大な吸盤で吸われたような痕跡が遺されていた。そこで狩猟管理局のスティーブは真相の解明に乗り出すが、その間にも一人、また一人と沼に近づいた町の人間が消えていく。実はこの沼地には放射能の影響で巨大化したヒル、その名も吸血怪獣ヒルゴンが潜んでいたのである…。
バーナード・L・コワルスキー。後に「怪奇! 吸血人間スネーク」の陳腐すぎるラストで多くの人間を仰け反らせる彼が、ロジャー・コーマンによる指揮のもと、59年に製作したのがこの映画だ。主な舞台が沼地のために全編に渡ってジメジメとした雰囲気が漂っており、それに合わせてか話の方も、人妻の不倫話があったり小憎たらしい保安官が出てきたりと、快活さとは程遠いものになっているのが面白い。また主役のヒルゴンは、まんまタコの触手が肥大化したようなデザインが不恰好で恐怖感に欠けるものの、クライマックスでは水中を泳ぎ回りながらスティーブたちと死闘を繰り広げてくれる。重い着ぐるみを纏って泳がなければならないスーツアクターさんの苦労が画面の向こうからもひしひしと伝わってきて、実に見応えのある名シーンとなっていた。
しかしこの映画、やっぱりコワルスキー作品である。沼の底から死体が浮き上がってくる場面での冴えない演出、ラスト寸前になって何の脈絡も無く語られるヒルゴンの出生の秘密、そして「本当にこんな終わり方でいいのか?」と思わずにはいられないラストショットと、様々な要素が足を引っ張って全体の印象を悪くしているのだ。良くも悪くも、ヒルゴンの水中戦こそが全てと言って過言でない作品だ。
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