キングコング      「評価 D」
南太平洋には人跡未踏の孤島があり、その地下には大量の石油が眠っているらしい。こういう噂を聞きつけた石油会社のウィルソンは、調査のために大型船に乗って島へと出航した。途中、勝手に船に乗り込んできた動物学者プレスコットや、船舶事故によって海上を漂流していた美女ドワンらを拾いながら、船はやがて噂の島へと辿り着く。ところがそこで彼らを待ちうけていたのは、怪しい儀式を行う原住民たちと、島の神として君臨する巨大猿キングコングだった。原住民に捕らえられ、哀れコングの生贄にされるドワン。しかしプレスコットの活躍によって彼女は助け出され、おまけにコングを捕らえることにも成功した。すると金に目がくらんだウィルソンは、コングをニューヨークに連れて帰り、大々的に見世物ショーを催して大儲けすることを企んだ。そしてショー当日。鎖で身体を固定され、大観衆の前でその身を晒すコング。だがドワンにカメラマンが殺到するのを見たコングは、生贄を奪われたものと思って怒り狂い、鎖を引きちぎって観衆に襲い掛かった…。
あの名作「キング・コング」を1976年にリメイクした作品。しかしオリジナルのような娯楽性を期待しているとずっこけること請け合いの、何とも言い難いトホホな内容であった。まず本作、恐竜が出てこない。プロデューサーのラウレンティスが「恐竜? おいおい、今は人類が月に行くような時代だぜ。そんなの出したって観客に笑われるだけじゃないか、HAHAHAHA!」なんて考えたのかは知らないが、この映画には前半の目玉だったはずの恐竜が一切登場せず、島でコングと闘うのは見た目にも弱そうな(そして案の定瞬殺される)大蛇のみとなっているのだ。これでは暴君としてのコングの魅力が存分に発揮されるはずもなく、またコングが恐竜から美女を助け出すくだりを省いたために、ドワンがコングに同情を寄せるという展開も著しく説得力を欠いたものとなってしまった。
更にはお馴染みのクライマックス、ニューヨーク市街地での大暴れも本作ではぱっとしない。舞台を70年代に移したことが災いしたか、電線に引っ掛かって四苦八苦するコングという、オリジナルのファンならば悲しくて涙を禁じえない場面が出てくるのである。ビルの上での最終決戦(本作ではエンパイア・ステート・ビルではなく、今は無き貿易センタービルで戦いが行われる)も、相手が空軍の最新鋭武装ヘリでは分が悪すぎて、結局ろくに攻撃もできないまま無残に敗北してしまう。
嗚呼、哀れなりコング…。コングの保護を唱えるプレスコットが主人公側なのを象徴するように、本作においてコングは守られるべき存在であり、オリジナルの威厳は微塵と見出せない。これだけ見せ場を外しておいて、なんでオリジナルより30分も長いのかが不思議に感じられてならない作品だっだ。
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