グランド・クロス 「評価 D」
太陽黒点の異常により、地球全体が第二の氷河期に突入した。世界のあらゆる地域が氷に閉ざされ、温暖な気候のロスアンゼルスでさえ、五月だというのに雪が降り、気温が零下十度を下回った。しかし唯一人が生きていける赤道付近に人間が集中するのを恐れた政府は、重要人物にのみ真実を伝え、国民にはすぐに異常気象が収まると偽の情報を流し続けていた。情報を信じ、次々と凍死していく国民達。そんな中でロス市警のドレイクは、偶然知り合ったキスラー博士から、もうすぐ軍の船が避難民を迎えに来てくれると知らされ、家族らと共に船が着く港へと向かった。彼らの乗る雪上車は、武装した強盗団の襲撃といったトラブルがありながらも、順調に港に近づいていた。ところがキスラー博士は、ドレイクらに恐るべき事実を隠していたのである…。
氷に閉ざされた地球で生き残るために雪上車で移動する、早い話が「デイ・アフター・トゥモロー」や「サイレント・ワールド」の原点のような映画。しかしこの映画、ロスアンゼルス以外の地域がどうなっているのかが描かれることは一切無く、災害の魅せ方と説得力において後の二作には遠く及ばない。災害シーンのない「サイレント・ワールド」ですら凍りついた地球を写すカットは存在したのに、本作にはそれすらないのだ。また雪上車は平らな陸路を延々と進むだけで、他の人間との銃撃戦以外にトラブルらしいトラブルが出てこず、話の内容も平坦で面白みに欠ける。ただ唯一、海面が凍りついた港を見て絶望する人々に意外な救援が訪れる場面だけは、数少ないVFXの見せ場だけに演出に気合の感じられる出来だったが。
本作を先に見ていれば、「サイレント・ワールド」にもう少し高い評価を与えていたかもしれない。そんなことが頭に浮かんでしまった映画だ。
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