キラープッシー 「評価 D」
イギリス娘のヘレンには秘密があった。彼女のプッシーは独自の意思を持っていて、近づいてくる男の身体を丸呑みにしてしまうのだ。この特異体質のせいで女としての幸せを掴めないヘレンは、ある日ヤケを起こしてロンドンに渡り、身売りをしては男を食らう日々を過ごすようになった。一方でヘレンに片思い中の青年デニスもまた、忽然と姿を消したヘレンを追ってロンドンに来ていた。そこでシャム双生児の姉妹と知り合うデニスだったが、ふとしたことで錯乱状態に陥り、姉妹の片割れを殺害してしまう。いつまでも幸せになれないヘレンと、指名手配中の殺人犯となったデニス。果たして不幸のどん底にいる二人に、救いの時は訪れるのだろうか…。
この映画、DVDのパッケージが明らかに「キラーコンドーム」を意識したデザインになっている。まあプッシーが人を食らう映画だから、「キラーコンドーム」に肖ってこんな宣伝方法をするというのは分かる。それどころか「キラーコンドーム」と内容が近いという点では、本作は「キラーバージン」や「キラー・アイ」よりも遥かに便乗映画として売り出される資格はあるだろう。しかし、幾らなんでも「キラーコンドーム」に肖るには時期が遅すぎたのではないか。完全に旬を逃した宣伝をされているところが、並々ならぬ哀愁を感じさせる作品だ。
さてそんな本作、特異体質に悩むヘレンの人間性は上手く描けていたものの、それを相殺して余りあるほどに演出が酷すぎた。プッシーによる人食いシーンは、単純な画面処理と食われた人間の服が辺りに散らばっている様子だけで表現され、グロさも無ければ笑えもしない。デニスが狂気に走って双子の片割れを殺すシーンは、デニスの心的描写が薄く説得力に欠ける上、役者のやる気のない演技のおかげで恐怖とは別の寒気が襲ってくる。度々挿入されるヘレンのトラウマのシーンは、あまりにも肩透かしなオチで何の意味があったのかさえ分からない。宣伝のされ方のみならず、作品内容にも物寂しさが漂っている作品だった。
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