イット・ケイム・フロム・アウター・スペース 「評価 B」
アリゾナ州の小さな町、サンドロック。ここで暮らす天文学者のジョンはある晩、隕石のようなものが町外れの砂漠に落下していくところを目撃した。早速恋人のエレンらと共に落下現場へ急行したところ、そこにあったのは隕石ではなく、奇妙な生物が入った宇宙船のようなものだった。航行中に宇宙船が故障した彼らは、修理のために地球へ立ち寄ったというのである。しかし宇宙生物たちは修理に必要な部品を盗むだけでなく、町の人間を誘拐しては、その人間そっくりに変身して街の中をうろつき始めた。事情を知らされた町の者達も段々と不安を募らせ、やがて宇宙生物を討伐するための自警団を形成する…。
レイ・ブラッドベリの小説「隕石」を映像化した作品。当時としては珍しい友好的宇宙人を描いた作品なのだが、その宇宙人の姿を「地球の静止する日」のような人間型ではなく、肉塊に巨大な単眼が付いたようなグロテスクなデザインにしたのは、本作のテーマである「人間の閉鎖性」を浮き立たせるという意味で非常に上手く作用していた。人間が見て悲鳴をあげるようなデザインだからこそ、人間は来訪者である彼らを疎外するのである。また、本作では宇宙生物からの視点を映したカットが多く使われ、それらのカットは彼らの一つ目を表すように、レンズ状のフィルターをカメラにかけて撮影している。人間に変身していた宇宙生物が元の姿に戻るシーンを、このフィルターを徐々に消していくことで宇宙人の視点からでも巧みに表現していた。他にも冒頭の宇宙船を徐々にクローズアップしていき、中で蠢く宇宙生物を映していくロングショットなど、カメラの使い方に光るものがある作品だ。
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