戦闘機対戦車              「評価 B」
1942年、北アフリカ。連合国のパイロットであるホッグスとマクミランは、地雷原を処理するために二機の戦闘機に乗って基地を飛び立った。だが離陸して間もなく、彼らは隊から孤立した枢軸国の戦車に遭遇し、その砲撃によってマクミランの乗る戦闘機が撃墜されてしまった。幸いにもマクミランは死んでおらず、ホッグスは負傷した彼を自分の戦闘機に乗せると早々と撤退しようとする。ところが戦車の砲撃はホッグスの機の片翼をも撃ち抜き、離陸を不可能なものにしたのである。ホッグスは戦車の追撃から逃れるべく、飛べない戦闘機を必死になって操縦するが…。
作中、画面に出てくる戦闘機が二三機、トラックが数台、そして戦車が一台だけという、低コストな戦争映画。手傷を負った連合軍の戦闘機をドイツ戦車が血眼になって追い回す内容で、「撤退するドイツ軍を追撃する連合軍」という当時の北アフリカの戦況をまんま引っくり返した構図にしているのがミソ(ちなみに原題は「DEATH RACE」)。砂漠をノロノロ走る戦闘機と同じくノロノロ走る戦車との追いかけっこは画的に見て非常に地味ではあるが、本作ではそれを補うかのように、次第に食い違いを見せていく両者の思惑や、異常なまでの執念で戦闘機を付け狙うドイツ側の将軍の不気味さといった両陣営の人間描写が挿入され、しっかりと戦いを盛り上げてくれた。シンプルに纏まった、佳作と言うべき作品である。
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