乱気流 ファイナル・ミッション       「評価 C」
狡猾な凶悪犯ジェレミー・バレットを始めとする三人の犯罪者が、護送のためにコロンビア航空の旅客機323便に乗せられた。ところが機が離陸して間もなく、ジェレミーは同伴の保安官達の隙を突いて銃を奪い取ると、他の二人と共に機内を乗っ取ってしまった。更に悪いことに、その際の銃撃戦によって酸素タンクが撃ち抜かれ、コックピットが大爆発。爆発の衝撃はコックピットの上部に巨大な穴を開けただけでなく、機長の命までも奪ってしまった。副操縦士のジェニファーが操縦を代わり、何とか墜落は免れたものの、早く何処かに着陸しなければ機体が持ちそうに無い。それなのにジェレミーはジェニファーを脅し、メキシコのサンディエゴ空港まで行くように命じるのだった。そこでこの状況を打開するべく、ジェレミーを逮捕した捜査官ニックが、空中から323便に乗り込んで彼らを掃討することになった…。
「乱気流」と邦題がついたエアパニックの中では、文字通り最終作となったこの映画。護送中の犯罪者が飛行機を乗っ取るまでのくだりは「乱気流 タービュランス」を、コックピットに穴が開いてそこから助っ人が乗り込んでくる展開は「エアポート’75」を彷彿とさせ、エアパニック映画が好きな人は終始既視感に襲われること請け合いだ。特にジェレミーが保安官から銃を奪う場面は、ジェレミーがトイレに入るために手錠を外してもらうという微細なくだりまで「乱気流 タービュランス」と一致しており、こんなに似てていいものなのかと他人事ながら心配になってしまうぞ。
しかし本作、いくら在りモノの作品を繋ぎ合わせたような内容でも、その用い方に関しては評価できた。例えばニックがジェレミー達が見ていない隙にヘリから323便へと乗り移るシーンは、なかなかコックピットの穴に入れないという「エアポート’75」にもあったハラハラ感だけでなく、いつジェレミー達がコックピットに来るか分からないという別の要素を置くことで、一層強い緊迫感を作り出すことに成功しているのだ。既存のネタを料理して自分のものにしている、オマージュの見本とも言える作品だった。
GO TO TOP!!