ハリウッド人肉通り            「評価 D」
エリック・ヘイズはスクープ映像専門のカメラマン。残虐な事件や事故を撮影記録し、そのフィルムをマスコミに売りつけることで収入を得ていた。ある晩彼は、美しい女性が浮浪者たちに捕まり、路地裏へと引きずり込まれていくところを目撃した。これは事件に違いない。そう感じた彼は、カメラを手に浮浪者たちの後を追った。ところがその先にあったのは、彼の想像を絶する光景だった。浮浪者たちが女性の腹を食いちぎり、寄って集って内臓を貪り食っていたのである…。
アルバトロス・コアが世に送り出した食人鬼ホラー映画。なかなか話が進まない鈍重な脚本、殆どの場面でカメラが固定されていて動きに乏しい映像など、あらゆる面からインディーズ臭が漂ってくる作品ではあるが、スクープカメラマンの描写に関しては光るものがあった。主人公のエリックは、極端に言えば人の死から糧を得ている男である。目の前で惨殺事件が行われていても、火災現場に取り残された子供が泣いていても、エリックは眉一つ動かさずにカメラを回し続ける。何故ならそれが彼の商売だからだ。こんな最低の仕事をしている彼(本人も作中で「俺は犬にへばりつくノミだ」と言っている)を当然周りの人々は蔑み、まともに扱ってはくれない。エリックは周囲からの阻害に悩みながらも、自分の仕事に変な誇りを持っていて仕事を変える気は起こせなかった──。食人鬼が内臓を貪る場面が何度も出てくる映画である以上、本作の製作者にはエリックと通じるところが少なからずあったのだろう。エリックの鬼畜で非道な人柄が嫌らしいまでに生々しく描かれており、その壮絶さには思わず息を呑んでしまった。
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