乱気流 グランドコントロール       「評価 B」
航空シミュレーターの開発に携わっている男、ハンスには暗い過去があった。かつてシカゴの航空管制センターで働いていた彼は、自分の判断ミスによって旅客機を墜落させてしまったのである。しかしある日のこと、そんな彼の元に人手不足だから助っ人に来てほしいとの依頼が舞い込んできた。仕方なくかつての職場に戻るハンスだったが、レーダーを前にすると墜落させた日のことが頭を過ぎり、まともに仕事ができない状態だった…。
上空を飛ぶ無数の飛行機に対して各々適切なルートを指示し、事故を未然に防ぐ仕事をするのが管制官という人たちである。パイロットの陰に隠れて地味な印象がする管制官だが、本作のハンスみたいにちょっとした判断ミスが大惨事を招くこともあるわけで、大変に神経を磨り減らす仕事であることは想像に難くない。そこで90年代後半、ちょうど「コン・エアー」「エアフォース・ワン」「乱気流 タービュランス」で航空パニック映画の熱が高まった頃に製作された本作が、主役として選んだのが管制官であった。この映画はそんな着眼点も然ることながら、彼らの悩みや葛藤を余すところなく描ききっており、人間ドラマもしっかり楽しめるように作られているのが素晴らしい。たった一晩の出来事なのに、停電が発生したり無線の故障した飛行機が接近してきたりと、有り得ないぐらいにトラブルが立て続けに発生するのは、まあパニック映画だからということで割愛。航空パニック映画の一味違った形を見せてくれた、佳作と呼べる作品である(しかし幾ら「乱気流 タービュランス」に肖ったとは言え、乱気流の発生しない映画に「乱気流」なんて邦題をつけるTAKIコーポレーションって…)。
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