バトルヒーター 「評価 D」
気弱な青年ウルチはある日、勤めている電気店から一台のコタツを貰ってきた。早速帰って使ってみようとしたところ、彼はコタツの側面に銀色の怪しいリングが埋まっていることに気づく。そのリングがあまりにも綺麗なものだったから、ドライバーを使ってリングを外してみた。これが外れると、コタツが入った人間を片っ端から食らい尽くす殺人コタツになるとも知らずに…。
爆風スランプのメンバーが総出演している、シュールな世界観のSFコメディ映画。人食いコタツはヒーターの部分が口になっている他、四本足で蜘蛛のように移動したりプラグを鞭のように使用したりと、なかなかギミックに富んだ暴れっぷりを見せてくれるのだが、本作の目玉は何もこいつだけでない。スタンガンを振り回す電気店オーナーや、勝手に動き出すバラバラ死体、時計一つ動かすのに膨大な電気コードを繋げているエレクトリック老夫婦など、登場するキャラの殆どがまともでなく、人食いコタツの存在が霞んでしまうほどに異常極まりない世界が展開されているのだ。歪んだ世界をしっかり描けている点では、多少評価できる作品である。
しかし本作、「コメディ映画」と謳っている割にはあまりにも笑える箇所が少ないのは致命的だ。冒頭のミニカーが本物の車にペシャンコにされる場面は「おっ」と思ったが、その後笑えたのはウルチの隣人らによるバンドの解散コンサートで、ヴォーカルが必死に盛り上げようとしているのに観客は皆泣いていて重苦しい空気が流れている場面ぐらいのもの。シュールな世界観は好きだが、それに頼り切っているような脚本はあまり感心できなかった。
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