ザ・フェイス            「評価 D」
化粧品会社を経営する女社長ジャニス。彼女はまた、その美貌から自社のトップモデルとしても長年活躍し続けていた。ところが年月が経つに連れ、彼女の顔にシワが目立つようになり、カメラマン達から「モデルとしてはそろそろ潮時だな」などと陰口を叩かれるように。おまけに最近、会社と契約を結んだ若いモデルが急成長を遂げているではないか。このままではトップモデルの座が危ない。そう感じたジャニスは、蜂のエキスを利用した若返り薬の開発に取り組んでいる博士の元を訪れ、彼に研究中の薬をくれないかと申し出た。こうして薬を手に入れるや否や、早速使用してみるジャニス。すると見る見るうちに顔は若返っていき、数日後には全盛期の美貌を完全に取り戻していたのである。今まで彼女を悪く言っていた者達も、若返った彼女の魅力にもうメロメロ。美貌が蘇り、すっかり御満悦のジャニスだった。しかし、やはり薬は未完成品であった。蜂のエキスを取り込んだことにより、彼女は興奮すると巨大な女王蜂に変身する蜂女になってしまったのだ…。
ロジャー・コーマンのB級ホラー映画「蜂女の実験室」を、彼の弟子ジム・ウィノースキーがリメイクしたTVムービー。冒頭のランニング中の女性を蜂の大群が襲うシーンは、画面に黒い斑点をちらつかせただけのチープさ百点満点な映像処理で済まされており、「ホーネット」や「ザ・キラービーズ」のような本物の蜂に囲まれた役者の真剣演技を期待しているといきなり出鼻を挫かれる。
また美への執着故に破滅していくジャニスの悲劇に焦点を当てているためか、彼女と関わりの薄い出来事はあっさりスルーされるのが本作の特徴だ。先述の蜂の群れや序盤で業者を襲う巨大蜂は、登場するだけしておいてその後何のフォローも無し。まさしく「見せ場のための存在」であり、セールス重視のコーマン思想をこの上なく感じ取ることができるぞ。
そんなわけで特殊効果や脚本はメタメタな本作だが、ジャニスが変身する女王蜂は悪くなかった。胸が膨らんでいるだけのでかい蜂なのだが、造形が異様に凝っており、チープさに満ちた本作の中では一際存在感を放っていた。
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