血を吸う薔薇 「評価 B」
大学教授の白木は、このたび田舎の女学園へと赴任することとなった。しかし来てみると、古びた洋館に住む学長を始め、意味不明な言葉を口走る挙動不審の教師、急に奇声をあげて倒れる生徒など、学園は曲者揃い。また着任した晩に牙のある女性に噛まれそうになる夢を見たかと思えば、翌朝その女と全く同じ要望の女性が柩に入っているのを発見したりと、着いたその日から白木自身の周りにも怪奇現象が数多く発生していたのだ。白木は校医から聞いた話により、これらの怪人物や奇怪な現象は近辺に伝わる鬼の伝承に由来するものではないかと類推するが…。
東宝による「和製吸血鬼三部作」の三本目。欧米ホラーの定番モチーフである吸血鬼を日本映画に取り入れた作品としては、本シリーズ以前にも中川信夫のエログロ映画「女吸血鬼」などがあるが、本作では「日本」を感じさせる物件が殆ど登場しない。洋館や学園、森や沼など、日本らしさを極力排した舞台にすることで西洋色を出そうとしているのだ。しかしこういう拘りによって築かれた世界観がクライマックスで流れるお囃子なんかと折衷しているようには到底思えず、下手に西洋風にしているのが裏目に出ているように感じられてしまうのは辛いところ。
さてこの映画の一番の見所は、SRIの牧さんこと岸田森の怪演だ。学園に暗躍する吸血鬼たちの首領を演じているのだが、普段の怪しくも品のある振る舞いと、本性を見せて「グワアアアァァ」と血走った目で襲い掛かってくる時とのギャップは、東洋のクリストファー・リーと言っても過言ではないインパクトがある。本作の魅力は、ずばり彼が放つ異様なオーラにあると言えよう。
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