ガジュラ            「評価 C」
海洋生物学者のジャックは息子のブランドンを連れて、地震が及ぼす海洋生態系への影響を調べるために太平洋に浮かぶ孤島マラウへとやってきた。そこで知り合ったヘイル博士と協力して調査を始めるジャックだが、ブランドンは父親が構ってくれないので退屈そうに島の散策をしていた。ところがそんなブランドンの前に、一匹の奇妙な生物が現れた。恐竜の赤ん坊のような姿をした生物「ガジュラ」は、すぐにブランドンに懐き、彼はガジュラと共に楽しい時間を過ごすのだった。しかし暫くすると、島の浜辺にはガジュラの家族と思しき巨大生物が次々と現れ、島中がパニックに陥ったのである…。
ハリウッド版ゴジラの公開に併せてビデオリリースされたため、原題では「ガルガンチュア」だった怪獣の名前が、B級映画の宿命としてゴジラと音の近い「ガジュラ」にされてしまった不遇の作品。話は正統派ジュブナイル系を地でいく内容で、離れ離れになっていたガジュラ一家が一つに纏まっていくに連れて、ジャックとブランドンも失いかけていた絆を取り戻していく…という実に明快なものとなっている。映画の中盤、「大ガジュラと軍隊の戦い」と「ブランドンと小ガジュラの交流」の同時進行が噛み合っておらず、些か消化不良を起こしているように感じられる箇所もあったが、ラストの締め方が上手かったのでこの点は全く問題にならない。
本作で一番気になるのは、映画の顔である怪獣ガジュラである。90年代後半の作品なのでVFXの質はさほど良いとは言えず、CGで描かれた親ガジュラは妙にツルツルしていて質感に乏しいように感じられる。ところが本作、劇中で何度も「オオトカゲ」と称されているガジュラ一家の正体を「海に廃棄された農薬の影響で変貌&巨大化したカエル」としているのだ。そのためCGが妙にツルツルしていも、元々表面がヌメヌメツルツルしているのがカエルという動物なんだからと考えれば自然と納得がいってしまう。しかし本作に於いて、ガジュラの正体がカエルである必然性は何処にも見当たらず(高いジャンプ力を見せるとか、カエルの特性を生かしたような描写は一切無いし)、正体がトカゲだろうがカエルだろうが話に何ら問題は無いわけで、もしかしてVFXの不出来を補うためにわざわざ怪獣の正体をカエルにしたのではないかとも考えられるのだが、もしそうだとしたら上手いことやったもんだとつくづく思う(ただ、カエルの変異体なのに鼻先に爬虫類みたいなツノが生えているのは気になるが)。
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