ツイスター インフェルノ       「評価 A」
ネブラスカ州の小さな町、ブレインズワース。そこに住む音楽好きの少年ダニーは、ある嵐の晩、友人のアーサーと弟のライアンと一緒に家で留守番を行っていた。ところが急に襲ってきた竜巻によって家は全壊。辛うじて難を逃れたダニーは、バラバラになった家族を救い出すために町中を奔走する…。
「ツイスター」が切り拓いた新たなるパニック映画のジャンル「竜巻」に、いち早く真正面から取り組んだフォロワー的作品。だがそれ以上に本作は、話作りにおける着眼点の良さが深く印象に残った。地震、雷、火事、隕石と自然災害を扱った映画は数多くあれど、それらの殆どは子供を守る大人達か、その大人と対立するティーンエイジャー達を主役に据えたものだった。「デス・ゾーン 奇跡の生還」「ニューヨーク大地震」のように子供が重要な役回りを果たす映画もあるが、それでもやはり、奮闘する子供の様子を大人の視点から見据えた構成である。そう、特別なモンスターが出るわけではない自然災害映画にとって、子供とはあくまでも見守られるべき存在であり、絶対的な傍観者であり続けたのだ。そんな中で本作は、ダニーという少年の視点から災害を見つめている点に於いて、非常に新鮮に感じられた。観測員のボブやダニーの両親に焦点が当てられる場面も勿論あるが、それも主役はあくまでダニー。彼らが活躍する場面は驚くほどあっさりと処理され、その分ダニーの内的葛藤や人命救助の描写に時間が割かれている。ラストのモノローグも含め、「子供から見た災害」をこれでもかと言うぐらいに感じさせてくれるパニック映画はそうそう無いぞ。
またTVムービーであるが故に大規模なカタストロフ描写こそ無いものの、ダニーの家を竜巻が襲う場面ではピアノや卓球台が強風に吸い寄せられて軽々と空を飛んでいくなど、見せ場であることを意識した見栄えのするカットが適度に盛り込まれているのでパニック映画としても楽しむことができる。単なる便乗映画と言うには惜しい、思わぬ掘り出し物であった。
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