アバランチ 雪崩           「評価 B」
小説家のブライアンは、別居中の娘や息子と親睦を深めるべく、マッキンリー山にロッジを借りて冬の数日間を一緒に過ごすことにした。ところが滞在二日目にして雪崩が発生し、ロッジは雪に埋もれてしまう。何とか脱出しようと、雪を掘り進めるブライアン達。すると雪の中から、雪崩に巻き込まれたと思われる一人の男を発見した。助け出された男はダンカンと名乗り、共に協力してくることを誓ってくれた。しかしこのダンカン、実は凶悪なダイヤ密輸犯であり、次第にその本性を現していった…。
90年代の後半から2002年ごろにかけて、それまで大して注目もされていなかったジャンル「雪崩」に急に人気が集まり、「ホワイト・インフェルノ」や「フローズン・ハザード」など、文字通り怒涛の勢いで何本もの雪崩映画が製作された時期があった。この映画もそんな中で作られた一本で、閉ざされた空間内での密室サスペンスも利いた、なかなかの秀作である。初めは紳士的に振舞っていたダンカンが、拳銃の発見やブライアンに殴られたことを機に少しずつ変貌していく。映画前半の要となるこの箇所は、冒頭で凶悪なダンカンの姿を見せているので幾分盛り上がりに欠けるが、切っ掛けとなる出来事の前後による微妙な差異が上手く描かれており、十分に恐怖感を醸し出していた。また本作は無駄な要素を一切排したような、実にすっきりした脚本で、最初から最後まで綺麗に繋がっているように感じられる。雪崩のスペクタクル描写には乏しいものの、良くできた小品と言える映画だった。
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