テンタクルズ 「評価 D」
カリフォルニア州の海岸で、人が忽然と消えたかと思えば白骨体で発見されるという怪事件が続発した。新聞記者のターナーが海洋生物学者のウィルと協力して事件の調査を行ったところ、犯人は一匹の巨大化したタコだということが判明する。実は建設会社が無線電波を使った違法な実験を行っており、それが生態系に何らかの影響をもたらして巨大タコが誕生していたのだ。その後も巨大タコは人を襲い続け、海岸で行われたヨット大会もタコの乱入によって大騒ぎとなった。そこでウィルは飼っていたシャチ達を操り、巨大タコを退治しようとするが…。
「ジョーズ」のブームに乗って製作され、日本では試写会が日本武道館で行われた海洋パニック映画。しかし見せ場となるべき場面における演出力の不足が目立ち、パニック映画と呼ぶにはあまりにもお粗末な作品だった。ヨット大会を襲うシーンは、巨大タコが海上のヨットを一艘残らず薙ぎ倒していく迫力満点の見せ場になるはずが、気の抜けたBGMと静止画を多用した構成によって興ざめなものになっていた。クライマックスの巨大ダコとシャチの決闘も、シチュエーションだけならば血湧き肉踊る物なのが、暗すぎて何が起こっているのか分からない画面のおかげでいまいち盛り上りに欠けていた。巨大タコが赤い目をした頭と二三本の足しか模型が作られておらず、全体像が写るカットでは本物のタコを大写しにするという「深海征服」式SFXが使われているので、静止画も暗い画面もこの点の不足を補うための苦肉の策と考えられるが、それを抜きにしても不自然な音楽の使い方など、演出面での未熟さは否めない。各場面のシチュエーションだけを見れば佳作になり得たかもしれないのに、少しもったいない感じのする映画だった。
GO TO TOP!!