殺戮職人芝刈男           「評価 B」
大学を中退し、伯父のゴルフクラブで働いている青年アレン。最近彼は、奇妙な夢や幻覚に苛まれる日々を過ごしていた。ゴルフコースで美女に囲まれていたかと思えば覆面の殺人鬼に殺されたり、沼地に浮かぶ焼け爛れた男を見つけたり…。アレンは直感から、これらの現象を姿を消した父からのメッセージでは無いかと推測したが、それを確かめる術も無く、やがて彼は二十五歳の誕生日を迎えることとなった。このお祝いにかこつけて、ゴルフ場で乱交パーティーを繰り広げる友人達。ところがその時、コースの芝刈人に扮した殺人鬼が現れ、友人達を次々と惨殺していった…。
毎度お馴染みの「アルバトロス・コア」からリリースされた、ゴルフ場を舞台にしたスプラッター・ムービー。野球場の物を使って殺人が行われる「ザ・キャッチャー」同様、ティンカップを掘る機械やゴルフパットなんかを用いて殺人鬼が暴れまわるわけだが、このイロモノらしいコンセプトにも関わらず、意外なことにストーリーは伏線と謎解きに彩られた正統派ミステリーだった。前半部分は大した事件も起きず退屈そのものだが、後半で芝刈男が若者達の前に現れるところから急に物語は加速。そして殺人が一段落した所で、今までに放っておかれていた伏線が一気に回収される解決シーンへと突入していく。前半があまりに緩い展開だったものだから、投げっぱなしに終わるものとばかり思っていた伏線が突然引っ張り出されてきた時の驚きといったら相当なものだったぞ。また解決シーンで明かされる新事実も、嫉妬や策謀、監禁といったドロドロな要素満載で、どことなく乱歩の作風を匂わせているのもグッド。
「セサミ・ストリート」はゲイ番組だ論に始まるゲイネタの数々や、劇中で流れるお色気馬鹿映画など、観る人を選ぶ悪趣味なネタがこれでもかと出てくる上、カットごとに夜と昼が逆転しているように見える場面があったりと演出の稚拙さも目立つが、伏線回収の興奮が好きな人ならば観ておいて損は無い作品だ。
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