ボルケーノ・クライシス 「評価 B」
南米の小国サンペドロ。今度この国をローマ法王が訪問するということなので、新聞記者のサムがアメリカの本社から派遣されてきた。しかしサム自身の興味はローマ法王ではなく、この国の独裁者メンドーサ大統領に長年抵抗し続けているゲリラ組織のリーダー、マルコスにあった。何とかして彼に会いたいと思うサムだったが、大統領の独裁体制は予想以上に厳しく、少しでもゲリラのことを口にしたら即刻射殺されかねない状況だった。それでも数々の苦難を乗り越え、マルコスとの対面を果たすサム。メンドーサの体制にうんざりしていたサムは、この国に民主主義をもたらそうという彼の思想に同調し、組織に協力することを誓った。そして世界中にメンドーサの悪事を知らしめる計画を彼らが実行しようとしたその時、火山が轟音と共に噴火を始めた…。
90年代後半の火山映画ブームに便乗し、ロジャー・コーマンが即席で製作した映画。アクション中心の内容で火山が添え物的扱いになっている上、噴火シーンの映像は九十パーセントが他の記録映像からの使い回しという低予算ぶりだが、明確な構図と痛快無比な展開によってちゃんとした娯楽作品に仕上げているのは、さすがコーマンと言ったところ。各登場人物がしっかりと自らの信念に基づいて行動しているので物語が複雑になることも無く、最初から最後まで安心して見ていられる(特にメンドーサ大統領の分かり易すぎる独裁者像は見ていて笑いが込み上げてくるほどだ)。火山映画としては殆ど詐欺のような内容だが、いかにもコーマンらしい、B級だと割り切った作りに好感がもてる映画である。
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