ブロブ 宇宙からの不明物体 「評価 C」
場所は辺鄙な田舎町、健全な学生メグはポールに誘われてデートに出かけた。ところが夜道で車を走らせていた時、老人が腕を押さえて苦しそうにうずくまっているのを見つけた。彼の腕には奇妙なスライム状の物「ブロブ」が付いており、二人は急いで病院に連れて行くことにした。しかし老人が病院のベッドで寝ていると、ブロブは見る間に大きくなり、彼の体を食らい尽くしてしまった。ブロブは更にポールまで取り込み、病院の外へと姿を消す。唯一の目撃者であるメグは、町の不良ブライアンと協力してブロブの退治に乗り出そうとするが、その頃町外れの森では政府の軍隊が集結していた。実はブロブはアメリカが対ソ連用に開発した生物兵器であり、町はその性能を測るための実験場にされたのである…。
「マックィーンの絶対の危機」を80年代にリメイクした作品。オリジナルはティーンエイジ映画全盛の頃にその風潮に真っ向から挑んだような内容だったのに対し、本作は「大人VS子供」というティーンエイジ映画のノリに沿った内容へ変わっているのが興味深い。ブロブは触手を伸ばしたり巨大な口を見せたりと、より有機的な存在と化しており、老若男女問わずドロドロに溶かしていくエグさ全開な暴れっぷりも含めて見物である。またストーリーは完全に別物になっているが、冒頭で襲われる老人、映画館を襲撃するブロブ、クライマックスで車の中に閉じ込められる主人公…といった要素はしっかりオリジナルを踏襲しており、「マックィーンの絶対の危機」を観た人間なら思わずニヤリとすること請け合いだろう。
しかし本作、老人やポールの死因について警察がどう解釈したのか、何故政府の軍隊は映画館の観客を放置していたのか、と肝心な箇所で説明が抜けているのが難点だ。バイクジャンプに失敗するブライアンや上着を着せられるメグの弟など、伏線の張り方も「これが後々の展開に関わってきますよ」という脚本家の声が聞こえてきそうで、些かあざとく感じられる。オリジナルからの翻案の仕方は上手いのに、実に残念な作品だった。
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