ホムンクルス 新種誕生        「評価 C」
古城に住むロンカ博士は、奇形児の蒐集を何よりもの趣味としていた。ある日彼の耳に、同じコレクターのナポレオンが四つ目の胎児を手に入れたという話が入ってきた。これは手に入れないわけにはいかん、と思ったロンカ博士は助手のシーラに命じ、強盗のフリをしてナポレオンの乗る車を襲撃させた。そして見事、胎児の入ったクーラーボックスを奪い取ることに成功したのである。今まで見たことがない胎児が手に入り、ロンカ博士はすっかり御満悦。早速ホルマリン漬けにすると、お気に入りの三体と共に、城の一室に並べて飾ることにした。だがしばらくすると、怒り狂ったナポレオンが、雇った探偵らと共に城に訪問してきた。彼らを煙たく思いながらも、とりあえず城の一室に招き入れるロンカ博士。しかしその頃、四つ目の胎児の体から触手が伸び、他の三体に命を吹き込んでいたのである…。
四体のフリークスが人間を襲う本作だが、何よりも印象に残るのは登場する奇形児たちのグロテスクさである。リーダー格の四つ目の胎児を始め、脊髄から無数の針が生えてハリネズミのようになっている胎児、頭から直接手足が生えている某ギャグマンガの宇宙人みたいな胎児、そして外見から鳴き声まで何もかもがミニラにクリソツな胎児と、どれもこれも常軌を逸した容貌で、おまけに造形が異様にリアルなものだから(特に四つ目の胎児は全ての目がまばたきできるという凝りっぷりだ)見ているだけで吐き気が込み上げてくること請け合いだ。
一方でこの胎児のキモさを中和しようとしてか、話の方は四体の胎児を巡るロンカとナポレオンのいざこざを軸としたコメディ調になっている。純粋なコレクターである二人にとって、胎児たちが危険な存在であることなんかどうでもよい。胎児らを自分のモノにするべく、「俺はおまえ達を外の世界に連れて行ってやるぞ!」「私はおまえ達を絶対に見世物なんかにはしないぞ!」と、二人は真剣な顔で待遇を説くのだ。グロテスクな胎児やゴシック調の古城といった素材を揃えておきながら、やっているのは二人のコレクターの喧嘩というこの映画。これはこれで面白かったから良いが、折角のグロテスクな胎児たちに活躍の場がさほど与えられていなかったのは、些か残念に感じられた。
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