WISHMASTER リダックス        「評価 C」
魔法でどんな願いも叶える代わり、願った者の命を確実に奪っていく魔人ウィッシュマスター。イスラムの赤い宝石に封じ込められていた彼は、大学生のダイアナが図らずも宝石に触ってくれたおかげで再びこの世に戻ってくることができた。ダイアナは目の前に現れた魔人に驚き、大慌てで逃げ出して友人のグレッグ達にその存在を知らせようとするが、当然の如く彼らは魔人など信じてはくれなかった。そうこうしている内にウィッシュマスターは何としてでもダイアナから三つの願いを聞きだそうと、周りの人間の願いを叶えて殺し続けることで彼女を追い詰めていく。困り果てたダイアナは、ウィッシュマスターへの願いの一つとして、大天使ミカエルの魂をグレッグに宿らせるように告げた。たちまちグレッグの体はミカエルに乗っ取られ、光の剣を振り回してウィッシュマスターと戦うのだが…。
ウェス・クレイヴンが生んだひねくれ魔人、ウィッシュマスターがまたまた大暴れする三作目。前作「〜スーペリア」は第一作を必要以上に意識したのが仇となりチープさだけが印象に残ってしまった作品だったが、その前作以上に低予算な本作はそれを逆手に取り、舞台を完全に大学構内に絞ったことで、話と人物関係の纏まり具合がぐっと良くなっていた。ウィッシュマスターの願いの叶え方も、「痩せたい」と願った女性に強制脂肪吸引手術を施すなど、前作よりは大分捻りが利いている。両親が交通事故で死んだというダイアナのトラウマがいつの間にか無かったことにされているのは感心できなかったが、開き直ったような作りに好感が持てる作品だった。
ちなみに本作、「世界一の美女」という触れ込みで登場するのがケバいストリップ嬢だったりと、色々と笑える箇所が多い。中でも一番の笑いどころは、大天使ミカエルのへタレっふりである。映画の中盤、ダイアナは大天使ミカエルに魔人を退治してもらおうと考え、「ミカエルの魂をグレッグに宿らせて」という願いを述べた。こんな魂胆が見え見えな願いを叶え、本当にミカエルの魂を呼んでしまうのはひねくれ者のウィッシュマスターらしからぬ行動と言えなくもないが、それもそのはずだった。大天使様はダイアナが期待していたほどの実力は無く、あっと言う間にウィッシュマスターにノックアウトされたのである。そのあまりもの弱さから、降りてきたミカエルはウィッシュマスターお得意の偽物に違いないと思っていたらそんなことはなく、戦いに敗れた後もダイアナに「私の力では奴に勝てない。奴を倒せるのは君だけなんだ」なんてアドバイスを送ったりと(だったら最初から戦うなよ!)、終始ウィッシュマスターと敵対した立場をとり続けている。つまりこのミカエルは本物っぽいのだが、それなら尚一層惨めな存在に思えてならない…。
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