マックィーンの絶対の危機(別題:人喰いアメーバの恐怖)「評価 A」
ある晴れた日の夜、スティーブとジェーンは流れ星を見に行った帰り道に、片腕を押さえて苦しそうにしている老人を発見した。二人は老人を病院に連れて行き、医者に診せたところ、彼の腕には何やらアメーバのようなものが張り付いていた。流れ星と一緒に付近の森へと落下したアメーバが、近くの老人に襲い掛かったのである。しかもスティーブとジェーンが病院を離れている間に、アメーバはどんどん大きくなって老人と医者を完全に飲み込んでしまった。二人がアメーバに殺されたことを知ったスティーブは、そのことを警察に通報するが、当然の如く彼らは信じてくれない。そこでスティーブとジェーンはこの事実を信じてもらうために奔走する…。
アクションスターのスティーブ・マックィーンが28歳の時に出演したSF映画。本作が製作された50年代後半は、「理由なき反抗」や「暴力教室」など、「大人なんか信用できないぜ」という考えのティーンエイジ達を主人公にした作品が当たる時代だった。この傾向はSF映画にも及び、「暗闇の悪魔 大頭人の襲来」のような、侵略者に対し大人ではなく若者達が立ち向かう映画が数多く作られ始めるようになった。
さてそんな御時世の作品なので、この映画は肉を吸収して無限に大きくなるアメーバの恐怖よりも、スティーブと仲間達がアメーバを追って町中を駆け回る姿に時間が割かれている。アメーバの存在が町中に知られてパニックになった後でさえ、警官達は大した活躍をさせてもらえず、無敵と思われていたアメーバの唯一の弱点を発見するのもスティーブだ。だがそれでも、本作のラストでは若者だけの力だと何ともならないことが分かり、軍隊という大人の力によってアメーバが始末される。若者の活躍を最大限に描きながら、その限界を示して最終的に若者と大人の和解に持っていったのだ。アメーバが暴れるシーンが短いのは不満だが、一見ティーンエイジ映画の隆盛に迎合しているようで「それだけでは駄目だ」というメッセージを秘めた本作は、紛れも無く傑作と言われるべき作品である。
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