コング 「評価 D」
閑静な住宅街ウッドランド・ヒルズでは、地盤沈下による住宅の倒壊が頻繁に起こっていた。そこで鉱山技師のロブは、地下に空洞があるのではと睨んで街の周辺を探索した。すると案の定、町外れに洞窟の入り口らしき大穴が見つかり、ロブは住民の代表スティーブらと共に内部を調べてみることに。だが洞窟の中には、かつてスティーブ達が遊び半分の降霊術で呼び寄せた怪物が潜んでいたのである…。
殆どの場面が洞窟のセットで撮影された、低予算極まりないホラー映画。本作の地底怪物は微妙にゴリラっぽい風貌で、その外見に違わず岩壁を豪快にぶち破る粗暴な存在として描かれているのだが、洞窟の中には怪物が自作した丈夫な木の檻が置かれていたり、壁抜け能力を駆使して人知れず探索隊のメンバーを一人ずつ攫っていったりと、意外と几帳面な性格なのがチャーミング。壁抜けや、怪物に洗脳された人間の目が光るシーンなどは稚拙な特殊効果で失笑してしまうが、怪物の魅力は十分すぎるほどに感じられた。
そして本作、悲惨なラストが凄い。以下少々ネタバレになるが、全てに決着がつき、家に帰る生存者達。しかしぐっすりと家で寝ていた時に、重大なことを思い出す。洞窟の中には怪物が攫ってきた美女が監禁されていたのだが、彼らは自分達の生還に精一杯で彼女のことをすっかり忘れていたのである。その頃美女は怪物の洗脳も解け、暗闇の中で泣き叫んでいた。「忘れていたわ。彼女を助けていなかった!」生存者の女はベッドから起き上がろうとするが、隣で寝ていた男に「仕方なかったんだ」と諭され、再びぐっすり寝てしまった。ううむ、美女はまだ生きているのに「仕方なかった」は無いだろう…。あっさりと見捨てられた美女には涙を禁じえない作品である。
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