ダーティ・キッズ ぶきみくん         「評価 C」
アンティーク・ショップで働く少年ドジャーには、恋焦がれる女性がいた。女性の名はタンジェリン、デザイナー志望の年上のお姉さんである。ドジャーは彼女に日々懸命なアプローチを試みるものの、いつもチンピラのジュースに邪魔されて失敗ばかりしていた。だがある時、彼には恋をサポートしてくれる素晴らしい友達ができた。ジュース達が店で暴れた際、古いゴミ箱に封印されていた七体の動く人形が開放されたのである。見かけが醜いけれど心も醜い彼らだが、何故か裁縫の腕だけは達者だった。そこでドジャーは、タンジェリンのためにファッションショー用の服を作ってもらおうと考えたのだ。彼らの作る見事な服の数々に、驚き喜ぶタンジェリン。しかし服を作っている人形たちの不気味な姿を目にした彼女は、ジュースと協力して彼らを醜人収容所に送り込んでしまった。ドジャーはタンジェリンの自分勝手な態度に失望し、何とか子供たちを救出しようとするのだが…。
噛み付き、口臭、オナラ、ゲロ、小便など、それぞれサイテーな特技を持っている人形達が、街の映画館に繰り出したり酒場のヤンキーと義兄弟の杯を交わしたりして大暴れする作品。人形たちはリーダー格のアリゲーターを除けば、どいつもこいつも子供にプラスチックスーツを着せた「実写版鉄腕アトム」チックな外観で、見る者をぎょっとさせる怪しいオーラに満ち満ちている。こんな可愛さの欠片もない人形達がガヤガヤ騒いだり至る所に排泄物を撒き散らしたりする様は、純真な子供が観たら棺桶の中までトラウマを引きずりそうな壮絶なインパクトが感じられた。だが本作の真骨頂はこんなところではなく、クライマックス後のタンジェリンとドジャーの会話シーンである。それまでタンジェリンの尻を追うことしか考えなかったドジャーが、最後に出した結論とは。全編排泄物まみれのゲロゲロ映画なのに、最後にドジャーの成長を描いてきっちりジュブナイル作品に纏めている辺りが何ともいかがわしく感じられるのでありました。
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