アステロイド 「評価 C」
宇宙の彼方から落下してきた隕石が、カンザス州のダムを破壊した。ダムに溜められていた大量の水が流れ出し、麓の市街地は洪水に見舞われる。事前にこのことを把握していた政府によって住民の避難が行われていたので、被害は最小限に食い止められたものの、これはまだ始まりに過ぎなかった。後を追うようにして接近してくる次の隕石は前とは比にならない大きさで、落下したらまず地球の滅亡を免れないような代物だったのだ。そこで政府は高性能レーザー兵器にを用いて次の隕石を粉砕。かくして地球全体の危機は免れたが、散らばった無数の隕石片がテキサスの市街地に降り注いだ…。
90年代後半、「ディープ・インパクト」「アルマゲドン」を筆頭とする隕石映画ラッシュに乗って製作された一本。しかし本当にブームに乗って製作されたという即席感の漂う内容で、お世辞にも良作とは言えない作品だった。例えばあらゆる隕石映画に対してよく言われるツッコミに、「何故隕石は人の密集している場所にばかり落ちるのか」というのがある。「メテオ」といい「アルマゲドン」といい、隕石が落ちるのは決まって陸地の上で、中でもニューヨークやパリといった大都市に落ちるシーンを売り物にしている。だが表面の半分以上が海に覆われ、更に大都市が占める割合なんて0.001%にも満たない地球において、これはとんでもない偶然が連続して起こっていることになり、幾らスペクタクルを描こうという製作者の気持ちを汲み取ろうとしても少なからず違和感を覚えてしまうものだ(この点、隕石を海に落として二次災害を見せ場にした「ディープ・インパクト」は上手くやっていたと思う)。そして世の中には上には上がいるもので、本作ではなんと無数の隕石片が全部アメリカの市街地に落下する! 言うまでも無くべらぼうに低い確率であり、たとえ大都市に落ちてないとしても驚愕せずにはいられない内容だった。また巨大隕石の存在が明らかになると、その時偶々レーザー兵器が完成していたのでそれで迎撃したりと、御都合主義にしか見えない箇所もある本作。中盤のダム破壊や、クライマックスの炎上する市街地から住民を救出するシーンなど、地上でのスペクタクルが「メテオ」と違ってしっかりとした作りになっているので、パニック映画としては観賞に耐え得るのがせめてもの救いだった。
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