悪魔の寄生虫 パラサイト 「評価 C」
核戦争で荒廃した未来。「郊外」と呼ばれる国家施設で、科学者ポールは寄生生物の開発に従事していた。ところがトラブルが生じ、寄生生物がポールの体内に入り込んだ。このままだと寄生生物は成長し、ポールの体を食らい尽くしてしまうだろう。ポールは生き残りたい一心で、実験器具やサンプルを持って「郊外」を脱走。追っ手をかわして各地を転々としながら、寄生生物を退治する方法の研究に取り組んでいたのである。ある時ポールは、人口六十人余りの小さな町、ジョシュアに辿りついた。しかしそこの酒場でチンピラと揉め、寄生生物のサンプルが入ったカプセルを奪われてしまった。町外れの倉庫で、カプセルを開けるチンピラ達。その時ポールの制止する声も空しく、寄生生物が飛び出し、町の人間を襲い始めた…。
グロテスクな寄生生物に憑依された人間が、旅をしながら治療方法を探す。偶然にもあの電波映画「キラーバージン」と一致するプロットだが、無論本作の方が「キラーバージン」より何万倍も分かり易い話作りになっている。「都市部は毎日のように原爆が落ちてたまらないよ」なんて台詞を日常の会話に織り交ぜ、さり気なく世界観を説明する心意気。寄生生物の能力も噛み付いて人の肉体を吸い尽くすだけで、テレパシーによる幻覚や妄想などがない単純さ。この二点が違うだけで、本作は話の筋が容易に頭の中に入り込み、一方の「キラーバージン」は話を追うのも一苦労という煩雑な構成になる。よりよい話の作り方を学ぶため、両者を見比べてみるのも良いだろう。舞台が未来である事をより一層強調させようとしてか、ポールや「郊外」からの刺客に光線銃を持たせているのは、映画の雰囲気をチープにしているだけなのであまり褒められない。だが寄生生物の造形も及第点で、小さな町を舞台としたパニック映画としてはまずまずの作品だった。
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