スパズムス 蛇霊の恐怖         「評価 C」
大富豪キンケードは昔、兄弟と一緒にミクロネシアの小島に探検に出かけたことがあった。ところが原住民から魔神として恐れられている大蛇に襲われ、兄弟は死亡。キンケードも噛まれたことが原因で、度々大蛇の視界に入るものが頭の中に流れ込むようになってしまった。それから七年後、キンケードは未だに続くビジョンの流入を断ち切るべく、金に物を言わせて大蛇を捕獲させた。そして大蛇を邸宅の研究室に閉じ込め、精神学者のブラジリアンに自らの治療を依頼したのである。しかし蛇を神聖視する邪教の徒が邸宅に侵入して、大蛇が閉じ込められていたコンテナを開放。大蛇は逃げ出し、町の人間を襲い始めた…。
それまで秘境探検映画などの添え物的役割だった大蛇にスポットライトを当て、「アナコンダ」以降量産される大蛇映画の先駆けとなった作品。モンスターパニックというよりはオカルトスリラーの色が濃く、大蛇が人を殺していく度にその凄惨な光景が頭にフラッシュバックされ、次第に正気を失っていくキンケードの姿を哀愁に満ちた視点で描いた内容になっている。さてそんな本作の見所は、蛇に噛まれた人間の特殊メイクだ。顔や腕がブクブクに腫れ上がり、膨らんだ腫れの一部が割れて血が流れているメイクは、非常に生々しくグロテスクに感じられる。製作者の気合が入った、実に素晴らしいメイクと言えよう。だがこの特殊メイクの見事さに対し、大蛇の造形はもう少し頑張って欲しかったところ。一ヶ月間絶食したアナコンダといった感じのガリガリの風貌で、魔神としての威厳が欠片も感じられないのだ。また映画の後半から、残酷な光景に苦しむキンケードに話の焦点が合わせられ、トラブルの原因である邪教は表舞台から姿を消してしまう。そのため話の方がいまいち消化不良に感じられるのも、キンケードの破滅していく様が上手く描けているだけに非常に残念に思えた。
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