アベレーション2             「評価 C」
シャノン達一家は都会を離れ、美しい湖のある田舎町マウントビューへと引っ越してきた。そこで好青年スティーブとも知り合い、幸せな生活を過ごせる予感のしていたシャロンだったが、湖ではゴキブリのような外見の突然変異した昆虫が誕生しており、夜な夜な街中にやってきては住民の体に卵を産み付けていたのである。卵は数日としないうちに孵化し、住民の体を突き破って数を増やしていく。シャノンの両親まで虫に殺されてしまい、嘆き悲しむシャロン。しかし捨てる神あれば拾う神あり、ベトナム帰りの昆虫ハンター・ジョージ将軍が、町の騒ぎを聞いて駆けつけてくれたのである。ジョージ将軍はシャノンやスティーブと共に湖の付近を調べまわり、瞬く間に昆虫達の隠れ家を見つけ出した。ところが隠れ家には町の保安官が先に来ており、彼らに意外な事実を語り始めたのである。
あの「アベレーション」とは全く繋がりがない、あくまで邦題だけ続編扱いの本作。本物のゴキブリがヒロインの体を這い回ったかと思えば、ナメクジのような形状の幼虫が人間の体内を食い破る、「ザ・ネスト」と「スラッグス」をミキサーにかけたような内容だが、嫌悪感をもたらす要素に溢れた二大作品を混ぜたって傑作ができるなんてことはなく、貪欲が祟って各要素のインパクトに欠けた、先の二作には遠く及ばない凡作になってしまった。例えば、映画館で観客が食べているポップコーンに幼虫が紛れている…なんて「スラッグス」のアンチョビサラダを思い出させる場面があるが、残念なことにその観客が幼虫を直接食べているような描写はされなかった。またクライマックスに出てくる母親ゴキブリは、首の周りに体毛を生やして女王蜂を意識したかのようなフォルムになっているが、ボディに骸骨をいくつも埋め込んだ「ザ・ネスト」の母親ゴキブリに比べたらインパクトは遥かに薄い。
だが昆虫に関しては「ザ・ネスト」と「スラッグス」に到底敵わないながらも、本作はジョージ将軍の素晴らしいキャラがその欠点を見事に補っていた。ベトナム帰りを殊更に強調するこのマッチョ親父は、全身武装して昆虫を片っ端から始末していくだけでなく、武器が無くなれば素手で巨大昆虫と戦ってしまうほどのナイスガイ。劇中で度々流れる彼のCMも、ネズミや蛇をマシンガンやバズーカ砲で皆殺しにするという抱腹絶倒の内容で、一度見たら二度と忘れられないような代物だ。まさしく、彼のキャラ一本で支えられているような作品だった。
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