悪魔の毒々モンスター 東京へ行く        「評価 S」
前回の騒動の後、トロマビルの住民達は踊ったり刺青を彫ったりと楽しい暮らしを送っていた。毒々モンスター・メルビンもまた、恋人のクレアーと一緒に町の盲人センターで働き、悪党のいない平和な日々をエンジョイしていた。ところが町から追い出されたアポカリプス社は今尚メルビンを逆恨みしており、彼を抹殺せんと盲人センターに爆弾を送り込んできたのである。凄まじい威力の爆弾によって、瓦礫の山と化す盲人センター。幸いにもメルビンとクレアーは助かったが、センターにいた人間の殆どが死亡するという大惨事であった。その日からというもの、メルビンは「自分のせいで盲人センターの人達は死んだんだ」と意気消沈。すっかり以前の元気を無くし、目からは止めどなく涙が流れ続けていた。そんな彼の姿を見かねたクレアーの薦めで、行きつけのカウンセラーと相談してみるメルビン。すると東京に住んでいる父親に会えば元気を取り戻せるとアドバイスされたので、早速「飛行機よりも速い乗り物」ヨットに乗って、一路東京へと向かった。しかしこれはアポカリプス社によって仕組まれた大きな罠だった。実は先日、メルビンの力の源を奪う薬「アンチ・トロマトン」が、アポカリプス社日本支部の研究によって完成していた。そこでアポカリプス社はメルビンの知り合いのカウンセラーを味方につけ、彼を東京に向かわせて「アンチ・トロマトン」で始末しようと企んでいたのだ。更にメルビン不在のうちにトロマビルを乗っ取り、再び悪の巣窟に変えてしまうアポカリプス社。この重大な危機に、メルビンはどう立ち向かっていくのか。
大都市東京を舞台にメルビンが大暴れする、毒々モンスターシリーズの第二弾。悪党に冷酷なメルビンの姿勢は二作目になって更なるパワーアップを遂げ、パンチで相手の頭を陥没させたり体をグチャグチャに丸めてバスケットボールに変えたりと、既に冒頭の戦いの時点で容赦の無い血みどろファイトが繰り広げられている。また弱者に優しいメルビンの姿も前作以上に強調されており、落ち込むメルビンの目から青い涙が噴水のように噴き出すシーンは、本シリーズ屈指の名(迷)場面である。
そしてメルビンが日本に行ってからは、「外国人の思い描く日本」ネタの嵐。街でチョンマゲ頭のビジネスマンが歩いているのを始めとして、カブキ、忍者、パチンコ、相撲レスラーとジャパニーズ・アイテムがてんこ盛り。製作者のロイド・カウフマンが日本通ということもあって、タイヤキの屋台や料理屋に飾ってあるサンプルなど、妙に細かい日本文化までネタにしてくれており、日本人としては観ていて大いに嬉しくなるところだ。またここではメルビンが悪党を懲らしめる方法まで日本風になっており、色々と凝った戦い方が楽しめる。ある悪党に対しては熱したタイヤキの鋳型で鼻を挟み、悪党の鼻の形をタイヤキに変えてしまう。別の悪党は銭湯の浴槽に投げ入れ、お湯に息を吹きかける。するとお湯はメルビンの毒によってたちまち沸騰し、悪党は茹蛸状態に。そこへメルビンは野菜やうどんを入れ、人間しゃぶしゃぶを作ってしまう。また別の悪党に対しては、全身にコードを巻き付けた上、頭にマイクやアンテナを突き刺して人間発信機を作ってしまうのだ。前作以上に残虐で下品なテイストが濃くなり、尚且つインチキ日本ネタを堪能できる本作。戦闘シーンばかりなのでストーリー性に関しては前作よりも遥かに薄くなっているが、コメディ映画としては文句なしの傑作である。
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