デビルズタイド 「評価 C」
中米カリブ海上を航行する、豪華客船リージェント・クイーン号。この船内で金庫破りによる窃盗事件が発生したので、停泊した島から犯人を捜すために執行官のランスが乗り込んできた。偶然にもランスと船長は湾岸戦争時代の戦友で、再会を喜び合う二人。しかしこの島から船内に運び込まれた積荷は、窃盗犯以上に厄介なものだったのである。船が島から出港して間もなく、船員が積荷の検査を行っていた時にそれは解き放たれた。全身を甲殻に覆われ、弾丸さえも通用しない伝説の怪物、チュパカブラが…。
「チュパカブラ・プロジェクト」といい「チュパカブラ」といい、日本で紹介されるチュパカブラ映画はどれもこれも見るに耐えない駄作ばかりであったが、この度ようやくちゃんとした出来のチュパカブラ映画が上陸してくれた。豪華客船内で暴れる怪物という単純極まりない話を、脱線することなく最後まで貫き通す構成。下手に出し惜しみせず、のっけから全体像を露にしてくれるチュパカブラ。そして決して後を引かない、完全決着という言葉の相応しいラストシーン。そのどれもが今まで紹介されてきたチュパカブラ映画には無かったものであり、「そうそう、こういうのが観たかったんだよ!」と私自身映画を観ながら何度も頷いてしまった。またクライマックスの決戦では弾丸の通用しない装甲を持つチュパカブラに対し、ランス達は蒸気やら電撃やら鎮静剤やら、とにかく考え付く限りの対処手段を駆使して戦う。この辺り、製作者のモンスターへの愛情(と言っても痛めつけているのだが)を感じずにはいられない。映画としては地味な内容で、それほど高い点はあげられないものの、初めて登場したマトモなチュパカブラ映画という意味では大変に意義深い作品だった。
GO TO TOP!!