地底人アンダーテイカー 「評価 D」
閑散とした田舎町、レファーツ・コーナーズには秘密があった。地底人が町の至る所に巣を作っており、嵐の晩になると地上に這い出て人間を襲っていたのである。その傍若無人ぶりに耐えられなくなった住民達はクリスマスの晩、地底人の本拠地がある墓地にトラップを仕掛けて彼らを殲滅しようとした。ところが間の悪いことに、そこへ父親の遺産を探しにきた青年ジョン・マルテンスと、その遺産を横取りしようと企むギャング団が現れ、這い出してきた地底人達と大乱戦を始めてしまった。
ラブクラフトの短編を映画化した本作だが、演出と脚本の弱さからあらゆる箇所で説得力の欠けた内容になってしまった。まずレファーツ・コーナーズは、何十年もの長きに渡り人知れず地底人の恐怖に晒されてきた町という設定であるが、それに真実味を持たせるために必要なはずの町の閉鎖性やそれでも町を離れられない住民達の事情が少しも描かれておらず、観ていて今ひとつ釈然としない。またクライマックスで明かされる衝撃の事実は、度々ジョンが独白シーンでマルテンス一族の血縁を強調していたことがクッションとなっているものの、尚も伏線不足の感は否めず、やはり唐突に思えてしまう。それでいて作品内で地底人が暴れる場面は極端に少なく、ギャング団とジョンの戦いが長々と続くのでモンスター映画として割り切って見ることもできず、禿頭で白目を剥いた地底人のメイクぐらいしか見所の無い作品だった。
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