クライング・ドール 「評価 C」
敏腕プロファイラーのトニーの元に、また新たな事件が舞い込んできた。若い女性ばかりが連続して誘拐され、警察のところへ彼女らの髪の毛が入った封筒が送られてくる。そして犯人に呼び出された刑事が指定の電話ボックスに行ってみると、そこには一面に散らばる髪の毛と、奇妙な形に捻じ曲げられている人形が置かれていた。電話ボックスには犯人の手紙があり、それに書いてある場所へ行ってみると、人形と同じ形で殺されている女性達がいたのである。トニーは手紙の文面や犯行の形態から犯人像を割り出そうとするが、突然彼は謂れの無い罪で逮捕されてしまう。殺された女性のルームメイト、ローラが犯人の巧みな心理操作にかかり、トニーにレイプされたと思い込んでしまったのである。
イギリスの人気TVシリーズ「ワイヤー・イン・ザ・ブラッド」の一編。ある事件をきっかけとして超人的プロファイリング能力を得たトニーが、数少ない証拠から事件の犯人を導き出していく…というのがお決まりの展開なのだが、本編では真犯人よりもトニーの周りに執拗に付き纏うローラの不気味さに重みが置かれており、事件の描写がおざなりになってしまった感が否めない。このローラという女性、散々トニーを愛しているような素振りを見せながら、いざトニーと結ばれた(とローラが思い込んだ)翌日、いきなり「トニーにレイプされた」と泣き喚いたりと、行動が一貫していない印象を受ける。泣き喚いたのは犯人の心理操作によるものと推測されるが、本作はこの辺りの変化について説明が不足しているものだから、ローラが単なる情緒不安定の怖い女にしか見えなくなっているのだ。おかげで彼女を庇おうとするトニーの行動が説得力の欠けたものになり、どうも観ていて不満を覚えてしまう。畳み掛けるようなトニーのプロファイリングは見物だが、話に明確な筋が感じられない作品だった。
GO TO TOP!!