ガーゴイル 「評価 C」
ルーマニアで、アメリカ大使の息子がテロリストに誘拐されるという事件が発生した。CIAが駆けつけて何とか息子は救出したものの、誘拐した男は彼らが包囲したにも関わらず急に姿を消してしまった。それから数日後、かつてドラキュラ伯爵の別荘だったと言われる古城の尖塔に、消えたテロリストが貫き殺されているのが発見された。誰が彼を殺したのか? CIAのグリフィン捜査官はこの謎を追ったところ、古城ではGOTHな若者達によって夜な夜な集会が開かれていたことが明らかになった。彼らとテロリストの関連性を見出そうとするグリフィンだったが、GOTH集団のリーダーは「今では古城は集会に使ってない」と言い、テロリストとの繋がりを真っ向から否定したのである。そんなある晩のこと、GOTH集団のリーダーは他のグループとのいざこざに巻き込まれた際、図らずもテロリスト殺しの真犯人を目撃することとなった。二枚の羽で空を飛ぶ巨大な悪魔、ガーゴイルが突如彼らに襲い掛かってきたのだ…。
怪奇幻想の国ルーマニアを舞台にしたモンスターパニック映画。どうやら本当にルーマニアで撮影されたらしく、本物の古城や教会が舞台として使われており、作品全体に怪奇的雰囲気を与えている。またガーゴイルについてはCGの質感に乏しいのは残念だが、空から急襲してくるカットや無数の幼生体が洞窟を飛び回るカットなど、要所要所でスピード感溢れた演出が見られるのが嬉しいところ。しかし本作、肝心のガーゴイルの設定で大いに気になるところがあった。冒頭のガーゴイル狩りの場面では、四方から無数の矢を受けてもビクともしなかったガーゴイルが、神の血が塗られた一本の矢を受けて初めて倒される。その後の神父の説明でも、ガーゴイルには近代兵器すら一切通じず、神の血を塗った矢でしか倒せないと出てくる。ところが映画のクライマックス、ガーゴイルの卵が孵って沢山の幼生体が生まれてくると、「生まれたばかりのガーゴイルなら銃でも倒せるぞ!」なんて設定が何の前触れも無く出てきて、幼生ガーゴイル達は銃火器でバタバタと倒されていくのだ。やっぱり現代を舞台にしてるんだから銃の一つぐらい使いたい…という気持ちは分からないでもないが、だからって冒頭から積み上げてきた設定を自らぶち壊してしまうのは如何なものか。おかげで「神の血を塗った矢でしか倒せない」巨大ガーゴイルも実は銃で倒せるのではという気がしてきて、ガーゴイルに矢を刺そうと奮戦するグリフィン達の姿が滑稽に見えてしまったぞ。全体的に雰囲気はいいのだが、ラストで引っくり返ってしまった作品だ。
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