デビルズ・ストーム           「評価 D」
1974年、テキサス。カメラが大好きな少年ジョシュは、竜巻の研究をしている父から小さなペンダントを貰った。父はその後間もなくして竜巻によって死亡し、ジョシュはそのペンダントを形見として大切に持ち続けていたのである。それから30年後、TVカメラマンになったジョシュは、少数民族のロマ族を取材するためにルーマニアへと向かった。そしてロマ族の集落で撮影を行おうとしたのだが、そこで会った女性がジョシュのペンダントを見て驚きの表情を浮かべた。何でもそのペンダントは元々ロマ族の物で、悪魔教団が起こす竜巻をかき消すための特別な力が宿されているらしい。彼女の話を初めは笑い飛ばしたジョシュだったが、父が書いた本の共著者としてルーマニア人の名前が連ねてあるのを後に知り、やがて彼女に協力することを誓う。そしてその頃、悪魔教団は敵対するロマ族を葬るべく、666年に一度の大竜巻を起こそうとしていたのである…。
本作は「竜巻は自然現象でなく、悪魔の力で発生するものだった!」という内容のオカルト竜巻映画だ。それにしても「ザ・ボルケーノ」といい本作といい、最近はパニック映画にオカルトの要素を取り入れるのが密かに流行っているのだろうか。これ自体は構わないのだが、オカルトは扱い方を間違えれば途端に理解不能な映画になってしまう危険な題材である。明快さがウリのパニック映画と合わせるには余程の注意が必要だろう…なんて思っていたら案の定、この映画はそのさじ加減を誤り破綻した内容になっていた。例えば本作、ゴチャゴチャした設定がある割には作中で語られるべき情報が欠落しており、ペンダントがどうやって竜巻の勢いを沈めるのかすら観ている者には分からない。これはクライマックスに関わる肝心な部分なだけに、どうにかして伝えて欲しかったところだ。また夜中の墓場や精神病棟など、様々な禍々しい場所にジョシュを行かせて映画全体のムードを盛り上げようとしているが、どの場所も画面が明るかったりセットが安っぽかったりして、いまいち風情に欠けるのも難点。更には五分ぐらい続いた竜巻から逃げる場面に「全て夢でした」というオチをつけたり、クライマックス目前では悪魔教団とのカーチェイスで時間を稼いだりと、時間の使い方に無駄が多く話のテンポも悪い。パニック映画としてもオカルト映画としても感心できない、実に困った作品であった。
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