ザ・ボルケーノ                  「評価 C」
カメラマンのラッセルは、撮影中の事故で最愛の妻ドナテラを失って以来、家に篭り塞ぎ込んでいた。いつまでも妻の幻影が目の前を過ぎり、仕事すら儘ならなかったのである。このままではいけない、と思ったラッセルは、妻との思い出に区切りをつけるため、彼女の故郷であるイタリアの田舎町へとやってきた。だがそこで彼は、怪しげな雰囲気を漂わせる少女アンジェラに付き纏われることとなる。毎日のように儀式めいた事を行ったり、謎の絵を描いたりするアンジェラ。彼女はドナテラが死んだ日に落雷を受け、それから奇妙な行動をとるようになったらしい。教会の神父らはアンジェラに悪魔が憑依したと囁いていたが、ラッセルは彼女の異変とドナテラの死に因縁があるのではと思うようになる。そしてアンジェラの絵や儀式の場所を辿っていくうちに、彼は亡きドナテラがアンジェラの体を通じて、重大な事を知らせようとしているのに気づいたのである。直に月の引力の影響で世界規模の天変地異が発生し、その影響によって近くの火山が噴火する事を…。
久々の火山映画の登場…と思ったら、本作は噴火による阿鼻行煥よりもドナテラが送るメッセージの解読を重視した、オカルト・ミステリー映画だった。「世界規模の天変地異が起こる」なんて話を広げておきながら、結局一つの田舎町が火山噴火に襲われるのを描いただけで終わりなのは流石にそりゃないぜと思ったが、カトリック教会の保守的な雰囲気や町に隠された地下通路など、オカルトとしての道具立てがしっかりしているので案外すんなりと作品世界へ入り込めるようになっている。特にアンジェラ役の俳優のミステリアスな演技は絶品で、彼女のおかげで作品の質が随分と上がっているように感じられるほどだ。動物の死骸に何の意味があったのか最後まで分からないとか、メッセージの解読で少々飛躍しすぎているように感じられるとか、物語としては不十分に思える箇所が結構あるものの、オカルト的雰囲気を楽しむにはちょうど良い作品である。
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