ニンジャ・ファントムU.S.A.         「評価 D」
ベトナム戦争時に軍からの脱走を図り、現在も服役しているグレンという男がいた。脱走の罪は重く、このまま一生外に出られないかに思われたグレンだが、芸は身を助けるとはよく言うもの。実は彼には変わった特技があり、そのおかげで彼は外での仕事を命じられることとなったのだ。その特技とは、忍術である。
元戦友でグレンと一緒に脱走を図った男に、モリスというのがいた。グレンと違い脱走に成功したモリスは香港に密輸組織を築き、中東に武器を輸出して情勢を混乱させているらしい。軍はモリスを捕えようとしたのだが、彼は忍術に長けており、なかなか思うようになってくれなかった。そこで軍はモリスと同じ特技を持つグレンに目をつけ、香港に渡って彼を逮捕してくるよう依頼したのだ。グレンは香港に渡り、三つの密輸組織による小競り合いが起こっている香港に向かったのだが…。
迷彩模様の忍装束を纏ったグレンの姿が印象的な、ニンジャ映画の一本。この映画はグレンの他に、モリスと対立する密輸商に育てられた青年アランがもう一人の主人公として活躍し、モリスを追うグレンの様子と、密輸組織の対立に巻き込まれるアランの様子とが交互に映し出されるという構成になっている。この構成自体は中盤までは上手く作用しており、密輸組織同士の三つ巴の駆け引きと忍者アクションがどちらも等閑にされることなく融合しているのだが、物語が進んでいくにつれて沸々と不満が湧いてくる。と言うのも本作、最後まで二人の主人公が絡むシーンがまるでないのだ。グレンはモリス以外の密輸商には終始興味がないし、アランもだんだんモリスのことを気にしなくなる。これでは観終った時、別々の映画を同時に見たようなチグハグな感じしか残らない。ミサイルが飛び出す傘や、空飛ぶギロチンもどきなど、忍者の武器は良い味を出していたが、いい加減極まりないラストも含め、あまり褒められたものではない作品だった。
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