スティンガー             「評価 D」
辺鄙な片田舎クリア・スカイ町は、悪徳地主のおかげで開発の憂き目に遭っていた。木々は切り倒され、廃棄物は垂れ流され、今やクリア・スカイの自然は住民も嘆くほどに壊されつつあったのである。そんな或る日を境に、町では住民の失踪と肉牛の惨殺が多発するようになった。ロイ保安官は両方の事件を調べるものの、いなくなった人の行方も、肉牛殺しの犯人も、全く手がかりが掴めず捜査は難航していた。やがて痺れを切らした親父が、失踪した子供を捜すため荒野に出たところ、突然空から無数の羽音が聞こえてきた。親父が空を見上げると、そこでは廃棄物を吸って巨大化した蚊が何匹も飛び回っていたのである…。
巨大化した蚊が無数に発生するという、「モスキート」と同じコンセプトの本作。しかし廃棄物の影響で巨大化というありがちなプロットを始め、「モスキート」に比べてもどうにも感心できない映画だった。まずこの映画、巨大蚊を飼い慣らしている農園主や巨大蚊と戦ったのを酒場で誇らしげに語るジジイなど、ユーモアを狙った場面が至る所に出てくるのだが、これが後々に繋がる伏線にもなっておらず、ただ単発エピソードとしてしか登場しないのでユーモア以前に違和感を覚えてしまう。また本作の巨大蚊だが、空を飛び回るカットでは無数の影を画面上にちらつかせ、俳優に近づくカットではハリボテを使用するという、77年の「巨大ネズミの襲撃」に出てきた巨大スズメバチと全く同じ技術が使われているのだが、よりによってあの映画で一番稚拙に思えた映像技術を使わんでも…という気になってしまうのだ(ちなみに本作、93年製)。しかも後半では蚊が全く絡んでこない銃撃戦が続いたりと、何だかなぁと思わずにはいられない箇所がやたらに多い映画だった。
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