ヘル・キャッツ                  「評価 C」
ベネズエラ産の毒蜘蛛が巣を作っていた「アラクノフォビア」や、住人を皆殺しにする妖精が暮らしていた「インハビテッド」など、中古の家には何かと危険が潜んでいるものである。中古の家特有の変なシミや建て増しの跡なんかがライターの想像力を刺激し、前はどんな風に家が利用されていたのか、どんな人物が住んでいたのかといったことに対する思いを巡らせてくれるのだろう。そして本作もまた、中古の家を買ったらとんでもない災難が待ち受けていたという内容の「お父さん、マイホームはよく選んで買おうね」的教訓が込められたパニック映画である。
弁護士のポールは、長年の苦労の甲斐あってとうとう念願のマイホームを購入することができた。家は中古だったが離れの地下室まで付いており、妻も娘も大満足。しかし引っ越してから数日後、電気系統のケーブルが何かの生き物によって切断されていた。点検に来た業者はこれをネズミの仕業と見なし、ポールに猫を飼うように薦める。しかしポールは重度の猫アレルギー。近づくだけでも鳥肌が立つのに飼うなんて以ての外、と言い退けたのである。その翌日、ポールが職場に向かっている頃、娘のテサは家の近くをうろついていた一匹の猫を見つけた。テサはその猫をたいそう気に入り、父親に気づかれないように世話を見ることを決める。家に以前住んでいた老婆が、野良猫の群れに襲われて死亡したことなど露とも知らず…。
主人公達の家が知らぬ間に動物に占拠されていたという、猫版「ウイラード」と言うべきコンセプトの作品。終始パニック映画の王道を貫いた展開なのでドラマ性は脂取り紙並に薄く、また撮影に本物の猫を使っているので、大人しそうにニャーニャー鳴いている猫に消火器をぶちまけたり水鉄砲を撃ったりと、非道極まりない虐待場面がバンバン出てきて猫好きなら涙なしには見られない。ただし猫の大群がドアをガリガリ引っかいて強引に突破する場面なんかは、「群れ」の恐怖が上手く表現されていてそう悪くはなかった。パニック映画としては並程度の出来である。
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