巨大ネズミの襲撃(別題:巨大生物の島) 「評価 B」
アメフト選手のモーガンは、大試合前の息抜きにとチームメイト二人を連れ立って田舎の孤島を訪れた。そこで楽しくハンティングをするつもりだったが、鹿を追いかけていたチームメイトの一人が突如として謎の死を遂げてしまった。モーガンが彼の死因を探ろうと辺りをうろついていると、農家の鶏小屋で全長2mはあろう巨大ニワトリに襲われた。何とか巨大ニワトリを返り討ちにしたモーガンは、その家の人間から、農場に沸いた怪しい液体を餌に混ぜたらニワトリがあんなに巨大になったと教えられた。実は死んだチームメイトも農場の液体を飲んだ巨大スズメ蜂に殺されたのだが、そうとは知らずにモーガン達は島を去るのだった。しかし数日後、チームメイトの死因が明らかになると、モーガン達は顔面蒼白となる。死んだチームメイトの体内にはスズメ蜂何百匹分もの毒が注入されていたのだ。これは怪しい液体を飲んだ蜂の仕業に違いないと確信したモーガン達は、敵討ちのために再び孤島へと向かった。居合わせた学者らと協力して、巨大スズメ蜂の巣を爆破することに成功するモーガン。ところが戦いはこれだけでは終わらなかった。農家の人間が巨大ニワトリの死体を片付けなかったものだから、死体に群がったネズミ達が次々と巨大化していったのである…。
「戦慄! プルトニウム人間」や「巨大蟻の帝国」など、数多くの巨大生物映画を撮り続けた男、バート・I・ゴードン。彼の作品の特徴は、着ぐるみも人形アニメも使わず、ただの役者・ただの蟻なんかをミニチュアの中で暴れさせたり風景に合成したりして無理矢理巨大生物だと言い張るマッチョな姿勢にある。しかしこんな手抜き極まりない手法でも何度も何度も繰り返し用いていればそれなりに洗練されるもので、本作のクライマックス、モーガン達が立て篭もる家に巨大ネズミが群がるカットなんかは、精巧に作られたミニチュアのおかげでネズミが本当に巨大であるかのように見せることに成功しているのだ。他の場面では合成に失敗してネズミの体が部分的に消えていたり、巨大ニワトリや巨大スズメ蜂がハリボテ丸出しな出来(特に巨大ニワトリは映るのが頭と足のパーツだけで、足のパーツを持ったスタッフが画面外から役者を小突いているという情けなさ)だったりと、全般的に見れば陳腐と言える作品だが、この家に群がるカットだけは実物使用撮影の完成形と言っていいほどの見事な出来栄えであった。また撮影に本物のネズミを使用しているので、当然本物のネズミがバタバタ殺されていくカットが嫌というほど拝めるこの映画。銃で撃たれたり、電気を流されたり、激流に流されたり…。哺乳類であるネズミがあの手この手で殺される様は、蛇やゴキブリの退治よりも遥かに鬼畜に感じられるので鬼畜好きには見逃せないだろう(多分)。ラストもやたらと手の込んだ衝撃的なものになっているので、本作は平凡な筋書き・陳腐な特撮でも非常に内容が充実している映画である。
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