ベン                 「評価 A」
ウイラードを殺し、仲間の仇を討ったベン達。しかしウイラードの家を調べにきた警察によって彼らの存在が明らかになり、家にはネズミ殺しの薬が撒かれた。かくして家に住めなくなったベンは、他のネズミ達を率いて下水道の一角に新たな巣を築くことにした。そんなある日のこと、近所をうろついていたベンは心臓病の少年ダニーと知り合う。病気が原因で孤独な日々を送っていたダニーはベンを受け入れ、彼らはすぐに無二の親友となる。やがてベンは他のネズミ達もダニーの部屋に連れてようになるのだが、ひょんな事からベン達の存在がダニーの家族に知られてしまい…。
今まで疎まれていたベンが最良の友に出会う、「ウイラード」の続編。前作同様、孤独な人間とネズミの交流を描いた内容でありながら、本作では歪んだ青年から病弱な子供に変わったことでいっぺんにスリラー色が薄まり、ネズミとの友情がより前面に押し出されている。そのため前作のような猟奇性を期待すると大いに幻滅するだろうが、ダニーとベンが本当に会話しているように見える場面を始め、ネズミに人間臭さを加味する演出が本作でも十分に作用しており、作品の毛色は違えどしっかり楽しませてくれるのは確かである。また街でネズミによる事件が起きると、決まって「明日はわが身だ」と不安げな顔を浮かべる野次馬達にカメラの焦点が当てられているのもミソ。ダニーとベンの交流をたっぷりと描きながら、一方で町が恐怖に染まっていく様を描写し、パニック映画としての性質もしっかりと持たせているのだ。
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