ウィラード 「評価 B」
ウィラードは追い詰められていた。亡き父が興した会社では現社長のマーティンに不当な扱いを受け、家では病床の母の世話に追われる。彼の苦労を理解してくれる者はなく、次第にその心は閉塞していったのである。そんなウィラードを救ってくれたのが、家の地下室にいた白ネズミのソクラテスだった。ウィラードは彼を溺愛し、更にはソクラテスが連れてきた黒ネズミのベンを初めとする、大量のネズミ達の世話も見るようになったのだ。こうして孤独ではなくなったウィラードだが、相変わらず会社ではマーティンに怒られ続けていた。そこである晩、ウィラードは腹いせにマーティン邸に侵入し、ネズミの大群を放って彼の愛車をボロボロにした。マーティンが大切にしていた物が壊れていく様を見て、満足げな顔を浮かべるウィラード。だがマーティンの飼い犬をネズミの入ったカバンに放り込んだ時、彼は自分が恐ろしい力を手に入れてしまったことに気づいたのである…。
71年の映画「ウイラード」をリメイクした本作。日本では当初2003年に劇場公開される予定だったが、何故かいつまで経っても公開されず、気が付いたら劇場未公開作としてビデオ・DVDがリリースされてしまった。「アナコンダ2」もそうだったが、この手の映画は劇場では当たらないと判断されているのだろうか。
さて本作、時代の風潮に合わせてか、オリジナルに比べてネズミの襲撃シーンが豊富になっている。オリジナルで病死だったウィラードの母親や、登場してすぐに捨てられた猫なんかも本作ではネズミに殺されるのだ。おかげで見せ場が増えたのは嬉しいが、母親をネズミの餌食にし、ウィラードとの別れの場面をばっさりカットしてしまったのはストーリー性の面で問題があるのではないか。ウィラードが人間社会で孤立し、暴走していくための重要な布石だったので、カットしたのが惜しまれてならない。進化したCG技術のおかげでベンをより人間的に描くことには成功していたが、スリラー映画とパニック映画の中間にぶらさがっているような、どうにも不安定な印象を受ける映画だった。
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