食人大統領アミン 「評価 C」
1971年。民衆からの絶大な支持を受け、ウガンダの大統領に就任したアミンという男がいた。しかし彼はアジア人を国外追放して経済を傾けた上、気に食わない者を片っ端から処刑するなどして諸外国から顰蹙を買い、瞬く間にウガンダの外交的孤立を招いてしまった。これはそんなアミンが行った暴政の数々と、彼が戦争に敗れて国外逃亡するまでの様子を事実に基づいて再現した映画である。
歴史ドラマとして観るには本作、構成が単なる非道な行為の列挙に留まっており、アミン政権の崩壊の様子があっという間に終わってしまうのも含め、幾分物足りない出来になっている。また演出にもメリハリが無く、アミンという恐るべき人物を扱った点を除けば取りたてて見るような所も無い映画だ。しかしこの映画、そのアミンを扱ったという一点のおかげで、観ていて全く退屈せず、むしろ面白い内容になっているのだ。夢の中で聞いた神のお告げを実行に移したり、ヒトラーの像を立てようと言ったりと、暴政であると同時に物凄いインパクトのある事をやってしまう男、アミン。この題材が題材なので、映画はそんな彼の行動を淡々と描写するだけでも十分なインパクトを持っているのだ。
さて邦題にもある問題の食人シーンだが、これは死体の肉を刺身のようにスライスし、一切れを口に運ぼうとするところで終わっている。実際にスライスしている様子はカメラに映っておらず、アミン役の俳優が手に持っているのは明らかに別の肉なのだが、それでも肉を食べる寸前で場面は切り替わってしまうのだ。他のシーンで散々酷い人間を演じてきたアミン役の俳優も、さすがに食人のふりまではできなかったらしい。「食人」というフレーズに魅了されて観た場合、随分と拍子抜けしてしまうだろう。
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