新キラー・クロコダイル 赫い牙    「評価 D」
タイの山間にある小さな村。そこには小さな祠があり、遥か昔から謎の宝石が置かれていた。村に滞在していた日本人科学者はこの未知なる宝石に興味を持ち、村で色々と聞いて回る。そして分かったのが、村の者達が「呪いの山」として恐れる場所で宝石が採れたということだった。しかし呪いなんて迷信を信じようとしない科学者は、研究材料として宝石を持っていこうと思い、助手や娘らを連れて山へ出発した。彼らは山の奥深くへと進み、やがて巨大な滝の近くで祠にあった宝石と全く同じ物を見つけた。これで目的は達成されたと喜ぶ一行。だがその瞬間から、彼らは宝石の番人である巨大なワニに狙われることとなった…。
近年まとめてDVD化された「キラー・クロコダイル」シリーズだが、何故か発売されたのは第一作と第二作だけで、最終作に当たる本作は未だにビデオしか出ていない。純粋アメリカ映画だった二作目までと違い、本作は日本のプロデューサーとの共同製作なので権利関係が難しいのだろうか。
そんな本作、ワニのハリボテ自体は第一作からの使い回しなのにも関わらず、それまでのシリーズと比べると違和感を覚えてしまう出来だった。科学者達が山の中を歩く場面が何のトラブルも無いにも関わらず15分近く延々と続いたかと思えば、ワニが出た途端物凄いペースで死人が続出する…というように、話のテンポが一貫していないのである。このテンポの悪さが最も感じられるのが、本作のクライマックスだ。科学者の娘が現地の少女と一緒に船を漕いでいたら、ワニが現れて船が転覆した。科学者の娘は辛うじて岸まで泳いできたが、まだ少女の方は流木に掴まったままだ。このままではワニに襲われるのも時間の問題だろう。ところが娘は巨大ワニの卵を発見すると、少女のことなんかすっかり放り出して卵を片っ端から破壊しにかかった。そして卵を綺麗に片付けてから、やっと少女の救出に向かうのだ。その間ワニが少女を襲うのを待っていてくれたからいいものの、何とも悠長なことである。
こんな風に、ワニ映画としてはあまり誉められたものではない本作。やはりこの手の映画に慣れていない日本が製作に関わったのが災いしたのだろうか。

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