サンドー 地獄の勇者 「評価 D」
東南アジアの小国に本部を構える、悪の秘密結社「黒い星」。アメリカ大使令嬢を誘拐した彼らは、国防に関する機密書類との交換ならば彼女を解放すると言ってきた。娘の命も大切だし、かと言って機密書類を渡すわけにはいかない。そこで大使は世界を駆け回る凄腕のエージェント、サンドーに娘の奪還を依頼した。早速サンドーは小人のゴライアス、金髪美女のジャネットと協力して「黒い星」の本部に向かうのだが…。
「悪魔のゴミゴミモンスター」「SF異星人パニック」と同じ、大陸書房の1980円ビデオシリーズの一本。だが外国産映画をリリースしただけの二本と違い、この映画は実際に大陸書房の資本によって製作された、殆ど日本映画と言っても良い代物だ。しかも監督にケン・ワタナベ、サンドー役にロマノ・クリストフと、「アメリカン忍者三部作」のコンビに製作を担当させている。今は無き大陸書房だが、この頃は景気が良かったのだろう。
さてこの映画、さすがケン・ワタナベが製作しているだけのことはあり、戦いにおける緊張感の無さは特筆ものである。例えば本部に向かう途中、サンドーとジャネットは原住民らによって捕らえられ、木の杭に縛り付けられてしまう。そして殺す前の儀式として、二人の周りを回りながら踊り始める原住民達。だがそこに原住民の格好をしたゴライアスが現れ、一緒に踊るフリをして二人を解放した。やがてゴライアスの存在に気づいた原住民らは、彼を一斉に睨みつける。そこでサンドーとジャネットは原住民の目が全員ゴライアスに向いている隙に、こっそりと逃げ出した。しかし幾らこっそり逃げたとしても、周りは原住民らが囲んでいるのだからすぐに気づかれてしまうはず。ところが彼らはゴライアスに気を取られるあまり立ち去る二人に全く気づいておらず、しばらくして「いつの間に消えたんだ!?」と言わんばかりにうろたえるのだ。更にゴライアスを救出しようと、近くの木の上から原住民らのど真ん中にロープを降ろすサンドー。ゴライアスはロープを掴み、ゆっくりと木を上っていった。ところが原住民らは誰一人としてゴライアスが逃げるところを見ておらず、またしても「何故だ、どうやって消えたんだ!?」と言わんばかりにうろたえ始めた。あまりにも注意力が散漫な原住民らの姿は爆笑必至だ。とこのように、全編緊張感の無い演出に溢れた本作。忍者が出てこないので馬鹿度は低めだが、ケン・ワタナベの凄まじい作風を満喫するにはうってつけの映画である。
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