ゾンビ・コップ 「評価 C」
近頃急増している宝石強盗事件。どの事件の犯人も二人組みで事件を起こしているのだが、彼らの間には何の接点も見当たらず、警察は頭を悩ませていた。そしてある日、またもや二人組みのグループによる宝石強盗事件が発生し、警官隊は激しい銃撃戦の果てに一人を射殺した。この男の死体は早速検死医のところへ運び込まれたのだが、なんと彼の体は解剖されたような後が残っており、強盗を起こした時点で明らかに死亡していたのである。何故死者が犯罪を行えたのか? 疑問に思った検死医が調査を行ったところ、彼の細胞組織にはダンテ製薬が開発した細胞保存薬「サルファ剤」が含まれていたことに気づく。そこで検死医は署内きっての問題刑事、ロジャーとビグロウのコンビに頼んでダンテ製薬の調査に向かってもらった。ダンテ製薬に到着した二人はランディという女性の案内の元、施設内を見て回ることにした。だがこれでは秘密を探ることはできないと考えたビグロウは、トイレに行く振りをして二人と別れ、独自に施設内を調べまわった。そして厳重な扉の奥に、怪しげな機械とその下に横たわる死者の姿を見つけたビグロウ。近寄って調べてみようとしたところ、急に機械が作動した。そして今まで身動き一つしなかったはずの死者が起き上がり、ビグロウに襲いかかってきたのである。ビグロウは慌てて逃げ出すが、死者は彼を追って施設内を歩き回る。あの機械は死者を蘇らせるもので、ダンテ製薬の上層部は死んだ犯罪者を蘇らせて宝石強盗を行わせていたのである。施設内はパニックになり、そのドサクサに紛れてロジャーは減圧室に閉じ込められてしまった。やがてビグロウは死者を行動不能にさせるのだが、その頃には既にロジャーは酸欠で死んでいた。こうしてダンテ製薬の悪事を暴くことができたものの、相棒の死に嘆かずにはいられないビグロウ。しかし駆けつけてきた検死医の助言から、彼はあの怪しげな機械を使えばロジャーは蘇るのではと考えた。すかさず実行に移すビグロウと検死医。ロジャーを機械の下に置いて、スイッチを入れてみた。すると激しい放電の後、ロジャーは見事意識を取り戻したのである。ビグロウは相棒の復活を喜んだ。しかしこの機械にはまだ不完全な部分があるらしく、復活したロジャーには脈がなかった。しかも検死医が調べたところによると彼が生きていられるのは12時間が限度で、それ以上動こうとすると体の端から腐ってしまうらしい。この残酷すぎる現実を目の当たりにし、茫然となる二人。だがロジャーは機械を開発した黒幕が捕まっていないことを知り、残り12時間を彼の逮捕に捧げることを決めた。今ここに、巨悪をくじく正義のゾンビ、ゾンビ・コップが誕生したのである!
ヤクザがゾンビになる「ゾンビ極道」なんて映画もあったが、本作は正義感溢れる熱血刑事がゾンビとなって活躍する、痛快ヒーロー活劇だ。何せゾンビなんだから多少の無理は大丈夫。敵の銃弾を雨あられと受けても、どんなに長く水中に潜っても全然平気。そんな不死身のスーパー刑事に対し、敵の方も次々とゾンビ化した刺客を送り込んでくる。互いに死んでいる者同士ということで、幾らズタボロの体になってもどちらかが行動不能になるまで闘いは終わらない。そんなわけでマシンガンを正面から撃ち合ったりと、本作ではゾンビ特有のかなり無茶な戦いを存分に拝むことができるのである。
そして本作の極めつけと言えるのが、中華料理店へ聞き込みに向かう場面だ。そこの店主はダンテ製薬の黒幕と通じており、ロジャー達を始末するべく店内で蘇生機械を作動させた。すると驚くべきことに、厨房内にあった下ごしらえ済みのアヒルや豚が起き上がり、彼らに襲いかかってきたのである。確かに死者には変わりないから生き返るのも当然と言えば当然だ。しかも挙句の果て、冷蔵庫に保存されていた首と手足の無い牛までがゾンビとなってロジャー達を襲う! 首だけのアヒルとか、人間のゾンビだったら絶対に行動不能に陥っているような死体まで普通に動いている辺りが無茶苦茶に感じられるが、そんなことも首無し牛の迫力の前にはどうでもいい事に感じられる。まさに無茶な戦いづくしの本作を象徴するような場面なのである。
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