ZODA          「評価 C」
幻のアジア象の生存を確認するため、環境保護団体の連中がタイの密林に入っていった。しかし彼らのリーダーだった中年がうっかりヤスデの巣に入ってしまい、全身を噛み付かれて死んでしまう。残された者達は彼の遺志を引き継いで探索を続けようとするが、密林にはまだまだ多くの危険が待ち構えていた。サソリ、毒蜘蛛、蟻といった生物に襲われ、次々と倒れていく仲間達。彼らはやがて探索を断念し、生き残った者達の回復を待ってから密林を脱出することを決める。だが唯一の脱出路である川には、地元の民が恐れる獰猛な大蛇が潜んでいた…。
「幻の原始野生動物 アジアゾウを探せ!」なんて川口浩探検隊チックなタイトルが似合いそうな本作。なんと製作したのはムエタイとハヌマーン様の国、タイである(確か「シックスティナイン」の項にも同じことを書いたな)。よって虫に食われて足が白骨化するなど過度なグロシーンも随所に見られるのだが、内容自体は探検モノの定石を外していない、極めて正当派な映画であった。
本作では多種多様な生物が探検隊に襲いかかるが、その中でも特に目を引くのは後半の敵となる大蛇である。映画の中盤までにかけて登場する生物、ヤスデやサソリや蟻などは「大群で人間に襲いかかる」タイプなので、あまりバラエティーに富んでいるようには感じられない。だが大蛇は、本作で唯一「単体で何人もの人間を襲う」タイプの生き物で、それまで出て来た似たり寄ったりの生物にマンネリを感じつつあった観客に、強い衝撃を与えてくれる。またこの大蛇、CG自体はあまり美麗とは言えないが、その分水中から飛び上がり素早く人間に絡みついたりと、ダイナミックな動きで観る者を魅了してくれる。探検映画を締める敵として、十分すぎる役割を果たしているのだ。
密林を探索するシーンで急に爽やかな歌謡曲が流れ出したりと、時折明らかに場面の雰囲気に合わない音楽が出てくるのは緊張感を削がれて困りものだ。しかしそれ以外の演出についてはしっかりしているので、安心して観られる探検映画となっていた。

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