スクリーミング            「評価 D」
平凡な学生が越してきた街。そこでは「水晶教」という団体が本部を構えており、多くの町民がその教団に入信していた。学生も始めは水晶教を胡散臭い団体として遠ざけていたが、試しに信者の女性からかけてもらった「眠らなくなる催眠術」が本当に効果をあげたので、水晶教に対し興味を持つようになる。だが水晶教の実態は、人の血を吸って千年以上の命を保つ悪魔の集まりだった。生贄として選ばれた学生は、信者達から命を狙われる羽目になってしまった…。
まさしくタイトルの如く、美女のけたたましい絶叫が冒頭で聞ける本作。一番の見所は見ているこっちまで錯乱してきそうな凄まじいトリップシーンである。映画の中盤、水晶教の催眠術にかかった主人公は危うく生贄にされかけるのだが、その時繰り広げられる主人公の自我と催眠術との壮絶な戦い。全ての風景が原色となり、様々な人間の色抜き画像が次々と映し出される。更に主人公の周りには虫が沸いてきたりして、この様子はまさに麻薬防止啓蒙映画でよく流される「ヤク中のトリップシーン」そのものだ。下手な恐怖描写よりも、遥かに精神に嫌悪感をもたらしてくれる場面である。
だがこの映画、ここ以外の場面については全く感心できない。ビデオパッケージでは大量の蝙蝠が登場する映画であるように見せておきながら、実際は酷い造型の吸血生物が一匹しか出ないという体たらく(しかもこの生物、人形アニメと着ぐるみの両方が用意されているのだが、どちらもデザインに統一性が無いのでカットごとに全然違う姿に変わっている)。また前半で洗脳に至る過程をじっくり描きすぎたおかげで、ラストは物凄い急展開で幕を閉じてしまう。そのどれをとっても評価し難く、結果としてトリップシーンしか印象に残らないような映画になっていた。

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