サーベルタイガー          「評価 C」
刃物の如く鋭い牙を持つ、最凶の肉食獣サーベルタイガー。古代に絶滅したはずのこの獣が、遺伝子操作によって現代に蘇った。しかしふとした事故により、サーベルタイガーは山地に逃げ出してしまう。それを知ったサーベルタイガーを生み出した科学者らは慌てて山を捜索するが、既にサーベルタイガーは山中に住む夫婦を血祭りにあげていた。
どんな凶悪生物でもそれが未知の物であれば「これは大発見だ!」と言い、そいつを殺すのを市街地に核爆弾を落とすことのように騒ぎ立て、猛烈に反対する…。作品によって役割は微妙に異なるものの、このような行動をとる「新発見第一主義者」は一昔前のモンスターパニック映画では当たり前のように登場したものである。こういう命よりも功績を重視する人間はだいたい科学者だと相場が決まっており、このような人間が出てくる映画を立て続けに観ると、現実の科学者に対する偏見がどんどん高まっていくこと確実だろう。
さて本作にも、新発見が人の命よりも重いと見なす我侭科学者が登場する。逃げたサーベルタイガーが人を殺したとしてもあくまで生け捕りに拘り、雇ったハンターに対しては終始猫を被りつづけ、挙句にそのハンターを騙まし討ちにしてサーベルタイガーの餌にしようとした。そしてハンターが生きて戻ってきても、全く平然と振る舞っているのである。その我侭具合は「キングコブラ」のコレクションジジイの比ではなく、観ていて怒りが沸沸と込み上げてくること請け合いだ。
CGのサーベルタイガーが物凄くアニメ調な描かれ方をしているので実写と合成すると違和感ありまくりではあるが、この我侭科学者の前にはそんな点など微々たるものに思えてしまう。とにかく一人の人間のエゴに全てが集約されているような映画であった。

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