セント・へレンズ(別題:セントへレナズ・ピーク 恐怖の大噴火) 「評価 D」
1980年の春、ワシントン州セント・へレンズ山では奇妙な現象が続発していた。林で木材を運搬していたヘリコプターが無数のウズラに襲われたり、湖の魚が異変を来したり…。専門家らはこれを噴火の予兆と見て、カメラマンらと協力して近辺の住民に避難を呼びかける。しかしセント・へレンズ山は長年噴火したことがなく、人々はその話を信じようとはしない。それどころか近辺では報道カメラマンらが来たことで経済が潤ったと、住民らはこの騒ぎを祝い合っていたのである。ところが火山は予測通りに噴火し、近隣の村々を破壊し始めた…。
かつてセント・へレンズが噴火した時の模様を忠実に再現した本作。だがそれだけでは集客力が弱いと思ったのか、本作は単なる再現ドラマに飽き足らず、火山を扱ったパニック映画としての性質まで加えられており、どっちつかずで決まりが悪い内容になってしまった。
例えば本作、災害の姿をより現実に近い状態で観客に見せようと、噴火のシーンで実際にその様子を撮影したフィルムを使用している。実話の再現なのだからこれは当然のことなんだが、本作は同時にパニック映画でもあるため、何度も噴火の様子が大写しになる。するとその度に実際に撮影されたフィルムを使わなければならなくなり、結局何回も何回も同じフイルムを使い回すという状況に陥っているのだ。これではパニック映画目当てで観る者には物足りなく感じられ、また再現ドラマ目当てで観る者には余計なパニック描写が煩く感じられるだろう。
火山の噴火を止めるため少女を生贄として捧げようとする宗教団体が出てきたのは個人的に物凄くツボにはまったが(そもそもこの部分は実話なのか?)、先の例のように余計な要素を入れたことで曖昧になってしまった部分が多く、それほど評価のできない映画であった。
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